日本耳鼻咽喉科学会会報
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前庭神経内側核ニューロン活動に対するグルココルチコイドの興奮作用の検討
グルココルチコイド膜レセプターを介する作用を中心に
山中 敏彰
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1994 年 97 巻 5 号 p. 855-867

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抄録
ネコの前庭神経内側核(MVN) Type Iニューロン活動に対するグルココルチコイドの作用について電気生理学的手法により検討した.また神経終末からのglutamate遊離に対するグルココルチコイドの影響についてin vivo microdialysis法を用いて検討したところ,以下の結果を得た.
1. Dexamethasoneをmicroiontophoresis法によりMVNへ投与すると自発発火が用量依存性に急速に増加した.
2. Dexamethasoneによる自発発火の増加はGDEEまたはCoCl2の投与により抑制されなかった.
3. Dexamethasoneによる自発発火の亢進はRU38486の投与により用量に依存して速やかに拮抗された.しかし,canrenoateにより影響をうけなかった.
4. 前庭神経末梢に電気刺激を行うとMVNにおけるglutamateの遊離量が増加した.
5. MVNにおけるglutamateの基礎遊離および前庭神経末梢刺激による誘発される遊離はdexamethasoneの静脈内投与により影響を受けなかった.
以上のことからglucocorticoidはMVNニューロン膜のglucocorticoid receptorに直接働いてニューロン活動を興奮させると考えられる.
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