抄録
蝸牛血流の障害は, 突発性難聴の病態整理に関与する因子の一つであるので, 我々は, 外リンパ瘻を疑った9人の患者において蝸牛血流の測定を行った. 患者のうちの1例は, 潜水により再発性内耳気圧外傷を起こした極めて珍しい1例である. 蝸牛血流測定は, 試験的鼓室開放術中に, レーザードップラープロープの先端を蝸牛窓の前上方の岬角部にあてて行った. 中耳粘膜を除去した後でも摶動性のレーザードップラーからの信号がすべての例において認められた. 我々は, カルボーゲンの吸入または呼吸の停止により二酸化炭素の蝸牛血流への影響を測定しようと試みたが, ほとんどの例ではこれらの負荷によりはっきりとした反応を示さなかった.