日本耳鼻咽喉科学会会報
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98 巻, 8 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 玉川 雄也, 田中 秀隆, 萩原 秀夫, 石田 孝, 喜多村 健
    1995 年 98 巻 8 号 p. 1257-1262,1361
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ミトコンドリアDNAの3243位点突然変異が, 糖尿病と感音難聴の母系遺伝家系に近年見いだされている. 我々も同様な症状を示す1家系において3243変異を認めたので, その2症例について聴覚障害を検討した. ミトコンドリア脳筋症の聴覚障害には特異的所見が報告されているが, これと比較すると, 本症の純音聴力検査では, ミトコンドリア脳筋症における難聴に比較的多く見られるような, 高音部障害が優位の両側対称性感音難聴を示した. 難聴の障害部位については, 2症例の検査結果とも内耳性あるいは後迷路性の一方に典型的な所見を示さず, 両者の関与が示唆された. 2症例とも温度刺激検査においては半規管機能低下は認められなかった.
  • 久保 伸夫, 中村 晶彦, 山下 敏夫
    1995 年 98 巻 8 号 p. 1263-1269,1361
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    成人178例に対し, 塩酸コカイン200mgとエピネフリン1mgを含んだガーゼタンポンによる表面麻酔下に内視鏡下鼻内手術を行い, 術前および術中の中枢症状, 脈拍, 血圧などの全身症状と術中の出血量, 手術時間を検討した. コカイン麻酔に伴うショック, 妄言, 呼吸抑制などの中枢症状と血圧の変動はなかったが, 毎分20回以上の脈拍の増加を26例で認めたが, 硫酸アトロピンを用いなかった症例では少なかった. 術中出血量は対象群とは有意差はなかったが, 手術時間は有意にコカイン使用群で短かった. コカインは200mg用いて安全であり, 粘膜微小血管からの滲出性出血を抑制することで, 手術時間を短縮すると思われた.
  • 熊谷 雅彦, 中村 成弘, 田中 克彦
    1995 年 98 巻 8 号 p. 1270-1277,1361
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    この研究では造影剤を用いたヘリカルCTによる三次元血管撮影画像の有益性について評価した. 三次元CT (3D CT) は甲状腺癌2例, 頸動脈小体腫瘍1例に施行し, 頸部主要血管, 腫瘍及び転移リンバ節の立体画像について観察した.
    作製された3D CT血管撮影画像では甲状腺癌や転移リンパ節により頸動脈, 頸静脈が圧排され偏位している走行や血管の扁平化した形態及び頸動脈小体腫瘍の形態が立体的に描出されていた.
    今回の結果から, ヘリカルCTによる3D CT血管撮影画像は, 頸部主要血管と腫瘍の関係を術前に評価したり, 腫瘍の全体像を観察する際に極めて有用であり, 頸部腫瘍診断の一助になるものと思われた.
  • 辺土名 仁, 大久保 仁, 田中 英和, 龍見 京良, 小松崎 篤
    1995 年 98 巻 8 号 p. 1278-1284,1361
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    CT上Körnerの隔壁がほぼ完全な形で確認された正常3症例5耳を対象に, 同隔壁で2分割される側頭骨含気蜂巣の鱗部・錐体部蜂巣の体積比率を検討した. 平均体積比率は鱗部蜂巣32.7%, 錐体部蜂巣67.3%で, 全蜂巣体積が大きい例ほど錐体部比率が高かった. 各スライスレペルの体積分布では, 鱗部蜂巣は単峰性の分布傾向を示し, 最大体積は上鼓室レベルで認められた. 錐体部蜂巣は2蜂性の分布傾向を示し, 最大体積は上鼓室レベルもしくはそれより1~3レベル頭頂側で認められ, 第2の峰は上部乳突洞レベルで認められた. この方法を中耳疾患症例に応用すれば, 含気蜂巣抑制に関与する鱗部, 錐体部の要因を検討できると推察される.
  • 比野平 恭之, 湯本 英二, 兵頭 政光, 上甲 英生
    1995 年 98 巻 8 号 p. 1285-1290,1363
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    過去8年間に慢性副鼻腔炎の診断で内視鏡下鼻内副鼻腔手術の初回手術を行った170例301側のうち, 再手術を要した15例25側の初回手術後の経過, 再手術時の所見, 再手術後の経過を内視鏡を用いて検討した.
    初回手術後, 中鼻道がポリープや癒着により徐々に狭小化し, 再手術前には25側中17側で中鼻道が完全に閉鎖した. 再手術時に14側で前頭洞に膿の貯留が認められた. このうち6側では上顎洞にも膿の貯留がみられた. これは中鼻道が上方から癒着性に狭小化したことが原因と考えられた. 再手術後, 中鼻道の再閉鎖をきたした例は1側のみであり, 内視鏡手術だけで慢性副鼻腔炎を根治させうることは十分可能であると思われた.
  • 川口 肇子, 村田 清高
    1995 年 98 巻 8 号 p. 1291-1296,1363
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の味覚障害検索のため電気味覚検査を施行し, 糖尿病の諸因子 (年齢, 糖尿病の罹患年数や合併症の程度) との関連性を検討することにより, 以下の結果を得た. 1) 電気味覚閾値は加齢に伴い上昇した. 2) 糖尿病の罹患年数が長くなるほど電気味覚閾値は上昇する傾向がみられた. 3) 糖尿病患者において電気味覚閾値の上昇は三大合併症 (神経障害, 網膜症, 腎症) のいずれの合併症よりも早期に出現し, またそれらの合併症の進展により電気味覚閾値は上昇傾向がみられた.
    以上のことから, 電気味覚検査は糖尿病神経障害の一指標となり得ると考えられるとともに, 糖尿病合併症の早期発見および予防の指標として非常に有用な検査法であることが示唆された.
  • 中島 務, 柳田 則之
    1995 年 98 巻 8 号 p. 1297-1302,1363
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    蝸牛血流の障害は, 突発性難聴の病態整理に関与する因子の一つであるので, 我々は, 外リンパ瘻を疑った9人の患者において蝸牛血流の測定を行った. 患者のうちの1例は, 潜水により再発性内耳気圧外傷を起こした極めて珍しい1例である. 蝸牛血流測定は, 試験的鼓室開放術中に, レーザードップラープロープの先端を蝸牛窓の前上方の岬角部にあてて行った. 中耳粘膜を除去した後でも摶動性のレーザードップラーからの信号がすべての例において認められた. 我々は, カルボーゲンの吸入または呼吸の停止により二酸化炭素の蝸牛血流への影響を測定しようと試みたが, ほとんどの例ではこれらの負荷によりはっきりとした反応を示さなかった.
  • 大河原 大次, 渡邊 健一
    1995 年 98 巻 8 号 p. 1303-1309,1363
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    岬角電気刺激と, マスカー療法を同一耳鳴患者102名に行い, 両方法の耳鳴に対する抑制効果を比較検討した.
    岬角電気刺激では耳鳴の消失および減弱が61例 (60%), 不変および悪化が41例 (40%) に, マスカー療法では消失および減弱が47例 (46%), 不変が55例 (54%) に認められた. 岬角電気刺激は突発性難聴の耳鳴に有効であったが, 老人性難聴には有効例が少なかった. 一方, マスカー療法は老人性難聴に有効例が多く, 突発性難聴には有効例が少なかった. これらの結果から, 岬角電気刺激と, マスカー療法の耳鳴抑制に関する機序を考察した.
  • 渡邊 健一, 大河原 大次
    1995 年 98 巻 8 号 p. 1310-1317,1365
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    耳鳴症例に岬角電気刺激を行い, 電気刺激前後で蝸電図を測定し, 電気刺激による耳鳴抑制のメカニズムについて考察した.
    電気刺激により52名中27名 (51%) に耳鳴の後抑制が認められた. 耳鳴抑制群では電気刺激後, CAP振幅は有意に増大したが, 潜時は変化しなかった. 耳鳴非抑制群ではCAP振幅及び潜時は変化しなかった.
    耳鳴抑制群でCAP振幅が増大し, 潜時は変化しなかったことから, 岬角電気刺激は蝸牛神経に直接作用したと考えられた. CAP振幅の増大が認められたことは, 通電中の蝸牛神経の同期性の高まりが通電終了後も持続していたことを示しており, 蝸牛神経の同期性と耳鳴抑制効果の間の関連性が示唆された.
  • 桃井 敏明
    1995 年 98 巻 8 号 p. 1318-1322,1365
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    言語習得後, 聾となったpostlingual deafness患者は22チャンネル人工内耳の埋め込み手術を受け, 約2, 3カ月のリハビリテーションの後会話が可能となる. 22チャンネル人工内耳を挿入した患者16名を対象に, リハビリテーション開始後約3カ月の母音異聴率ならびに検査者の発生した母音のホルマント分析結果と異聴との関係を追求した. その結果異聴率の高いのは/o/→/u/ (13%), /o/→/a/ (12%) /e/→/i/ (8%) であった. その原因は検査の発声した母音のF1とF2の周波数の比 (/a/と/o/はほぼ等しい), あるいは刺激電極番号の差 (/o/と/u/, /e/と/i/の電極番号が近い) に関係があると考えられた.
  • 1995 年 98 巻 8 号 p. 1323-1332
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 98 巻 8 号 p. 1332-1347
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 顔面表情運動評価法について
    古田 茂
    1995 年 98 巻 8 号 p. 1348-1351
    発行日: 1995/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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