日本耳鼻咽喉科学会会報
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両側および一側レルモワイエ症候群症例と発症機序に関する考察
武田 憲昭肥塚 泉土井 勝美堀井 新丹生 真理子西池 季隆北原 糺久保 武荻野 仁
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1996 年 99 巻 2 号 p. 277-285,347

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抄録

両側レルモワイエ症候群の症例1は, 脱水により聴力と前庭動眼反射の利得が改善したが, 眼振とめまい感が出現した. 両側の内耳に内リンパ水腫が存在し, 両側の蝸牛, 前庭機能が同時に変動することが発症のメカニズムであると推定した. 以前に報告した症例3も両側レルモワイエ症候群と考えられた. 一側レルモワイエ症候群の症例2は, バトロキソビン投与により発作が誘発された. バトロキソビンにより血液粘稠度が低下することで右内耳血流障害が急激に改善し, 右聴力は改善し, 前庭代償が破綻しめまいが発症したものと推定した. レルモワイエ症候群には両側性および一側性の2つの発症機序が存在するものと考えられる.

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