1996 年 99 巻 2 号 p. 292-298,347
ヒト鼻粘膜から分離した血管内皮細胞を対象として, 好酸球に対する接着能および血管内皮細胞の間隙通過transmigrationに対するヒスタミンの作用について検討を加えた. ヒスタミンで血管内皮細胞を刺激した18時間後において, 10-5Mでは56.4%, 10-4Mでは66.0%と有意な好酸球に対する接着能増加 (危険率5%) が観察された. 抗ELAM-1抗体の前処置により, ヒスタミンによる接着能亢進作用はほぼ完全に抑制された. ヒスタミンは好酸球の内皮細胞間隙通過に影響を与えなかった. ヒスタミンは, 血管への接着の初期段階で重要なELAM-1やP-selectinの発現を増強させ好酸球の浸潤を助長させている可能性が示唆された. 一方, 細胞間隙通過にはあまり関与していないと考えられた.