日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報
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最終講義
ヒト鼻粘膜上皮線毛運動の制御メカニズム
鈴木 秀明
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2023 年 126 巻 10 号 p. 1154-1162

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抄録

 粘液線毛輸送機能は気道粘膜の恒常性を保つために重要である. 線毛運動の障害は種々の上気道・下気道疾患において観察されている. 本研究ではヒト鼻粘膜上皮線毛運動の制御機構について, 線毛運動速度/ATP 放出量の ex vivo 測定, 免疫組織染色, Western blot, 免疫透過電子顕微鏡, real-time RT-PCR, 細胞内Ca2+ イメージングの実験により検討した. Acetylcholine→pannexin-1―P2X7によってもたらされる持続的な細胞内 Ca2+ の上昇は, calmodulin→adenylate cyclase/guanylate cyclase→cAMP/cGMP→protein kinase A/protein kinase G を経てT型電位依存性 Ca2+ チャネルにシグナル伝達され, 線毛運動が制御されていることが示された. 気道上皮線毛運動の制御機構の解明は, 難治性の上・下気道疾患に対する新たな治療法の開発に結び付くことが期待される.

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© 2023 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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