日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報
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総説
次世代リーダーの育成―頭頸部癌に対する免疫療法の最前線―
熊井 琢美
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2023 年 126 巻 2 号 p. 81-87

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抄録

 免疫療法は癌治療において手術, 抗癌剤, 放射線療法に次ぐ第4の柱として確立された. 現状で用いられている免疫療法は, 腫瘍や腫瘍微小環境において抗腫瘍免疫を抑制する負の免疫チェックポイント分子への阻害抗体であり, PD-1 / PD-L1 や CTLA-4 がその代表的な分子として挙げられる. これらの分子に対する中和抗体は抗原性が高い悪性腫瘍として知られる悪性黒色腫で臨床応用が開始され, 一定の臨床効果を示した. 頭頸部癌も比較的抗原性が高い腫瘍として知られており, 2017年に Nivolumab, 2019年には Pembrolizumab の臨床応用が開始された. 臨床応用から数年が経過し, 免疫療法はリアルワールドで2割前後の奏効率を示している. 免疫チェックポイント阻害薬の使用に対するハードルは下がり, 全国で多くの耳鼻咽喉科・頭頸部外科医が免疫療法に携わっている. そのため, 臨床医にとっても頭頸部癌における腫瘍免疫の詳細な理解が求められるようになってきた. 本稿では, 頭頸部癌を中心とした増殖・転移に関するメカニズムおよび腫瘍免疫を応用した治療法の現状と未来について概説する.

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© 2023 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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