農学国際協力
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Print ISSN : 1347-5096
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食と農業の変遷から人新世における農業と農学のあり方を考える
生産性向上から人と自然との共生を目指したシステム構築へ
山根 裕子
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2024 年 22 巻 p. 13-34

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抄録
気象変動や森林減少、生物の大量絶滅など人間活動を原因とした環境劣化は人類の未来を脅かすまでに至っており、我々は早急に持続的な方向に社会の転換を図っていかなければならない時代の局面に来ている。本稿は現在の農業と食料の流通の問題を歴史的な視点からとらえ、持続的な方向への転換を図る必要性を訴えることを目的としている。まず、大航海時代から始まり産業革命を経て本格化していった地球規模での農産物流通と近代的農業(工業的農業)の発展の経緯を奴隷貿易にも触れつつ整理する。そのうえで、日本に視点を移し、近代化に伴って日本の農業と食がどのように変化していったのか、特に平成年間に焦点を当てどのような方向性で農業技術が開発されていったかについて言及する。それらを踏まえ、今後持続的な社会の構築に向けて農業とそれを支える農学がどのようにあればよいのかについて考察を試みる。
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