2025 年 9 巻 1 号 p. 111-148
本稿では、いわゆるスマホ新法(スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律)がもたらす問題点を多面的に検討し、同法の抜本的な見直しを提言した。
第1は規制の偏りである。スマホ新法は、Appleが維持してきたクローズドなビジネスモデルへ介入する規定を設け、係る規定に課徴金を課す法律である。「競争の促進に関する法律」でありながら、実際は特定の事業者を規制する性格を持つ。
第2はフリーライドの問題である。指定事業者が収益を投資に循環させるプロセスは認められるべきところ、指定事業者と競合するサービスへの手数料を無償にすべきという主張は、指定事業者が提供する価値へのフリーライドを要求する行為に等しい。本来、市場競争によって決まるべき価格に競争当局が介入することへの批判もある。手数料への政府介入は、広告事業を持たないAppleの事業に大きな影響を与えることが予想され、その意味でもスマホ新法は同社に不利に働きかねない。
第3は消費者被害のリスクである。スマホ新法は消費者に選択を与えることを是としつつも、消費者の限定合理性や脆弱性を考慮せず、生じ得る消費者被害には責任を取らない法律である。消費者の保護や安全に配慮した規定は存在しない。
第4は欧州連合(EU)で採択されたデジタル市場法(DMA)に倣うことに伴う問題である。日本は歴史的に外国の法令を国内法に取り入れることで法制度を発展させており、比較法から得られる示唆は大きい。しかし、スマホ新法はDMAの効果も検証せずに立法化されており、政策として拙速であるように思われる。DMAについては、ネイティブポルノアプリの配信やサービスの一部制限など、既に弊害が生じている。また、スマホ新法は、DMAと一体的に採択されたデジタルサービス法(DSA)に相当する法令が存在しない中で、スマホに特化する形で成立した法律である。デジタル空間の健全性は、総務省が検討を担ってきたが、表現の自由への配慮などから制度化に向けた姿勢は慎重である。仮に今後の日本の政策において、DMAやDSAに倣った包括規制を目指すと、アメリカ政府から不必要な反発も招きかねない。
第5は、正当化事由の要件の解釈や適用範囲の問題である。正当化事由には、それに含まれる権利や法的利益の狭さに加え、適用される条項の狭さを指摘する意見がある。スマホ新法は、プライバシー・個人情報保護、消費者保護、セキュリティなどが損なわれた時に生じ得る被害の重大性や回復困難性を十分に考慮に入れた設計になっていたのか、正当化事由を再考する必要性は高いと考える。特に懸念されるのはスマホへのサイバー攻撃のリスクである。スマホ新法の定めるアプリ及びアプリストア規制、OS機能の開放は、格好のサイバー攻撃のチャンスを与えることになりかねない。
同法は2025年12月18日に施行されるため、現時点では、慎重な運用を求め、正当化事由の解釈を厳格に行わないよう主張するより他はないが、データ市場に係る競争政策においては、競争、データ保護、消費者保護を三位一体で議論し、3つのバランスを欠かないようにすべきである。これらの観点に加え、サイバーセキュリティの重要性を踏まえた抜本的な同法の見直しを検討すべきである。
具体的には、OS機能の開放、代替アプリストア、アプリ内課金、リンクアウトは大幅に見直し、適用範囲を限定すること、正当化事由の範囲及び適用条項を拡大すること、参入するサードパーティに安全保護などの義務を課すこと、OS機能を利用させる際の用途を制限すること、問題のあるアプリやアプリストアを指定事業者が速やかに削除できる仕組みを設けることが必要である。正当化事由の解釈を手段の面から限定することにも賛成できない。
政府に対しては、スマホ新法の抱える様々な問題点を真摯に受け止め、スマホ利用者の安全を守ることを第一に、真に利用者の立場に立った政策を責任を持って実施するよう強く要望する。
This article critically examines Japan’s new “Act on the Promotion of Competition in Certain Software Used on Smartphones” (“Smartphone Act”) and urges a fundamental review.
First, although framed as a pro-competition measure, the law in practice targets Apple’s closed ecosystem by imposing rules and surcharges, revealing a regulatory bias against a specific firm.
Second, the issue concerns free-riding. While designated operators should be allowed to reinvest their revenues, the argument for waiving fees for competing services is tantamount to demanding a free ride on their value creation. Some also criticize government intervention in pricing, which should be left to market competition. Such intervention would particularly disadvantage Apple.
Third, there is a risk of consumer harm. While the Act purports to expand consumer choice, it ignores limited rationality and vulnerability, and contains no clear provisions for consumer protection.
Fourth, the issue concerns Japan’s attempt to emulate the EU’s Digital Markets Act (DMA). Japan has long developed its legal system by drawing on foreign laws, and comparative insights remain valuable. However, the Smartphone Act was enacted without first evaluating the DMA’s real-world impact, making the policy appear premature. The DMA has already produced side effects, such as the spread of native pornographic apps and partial service restrictions. Moreover, the Smartphone Act focuses solely on smartphones, in the absence of a domestic counterpart to the Digital Services Act (DSA).
Finally, the scope of “justification grounds” (legal exceptions) is narrow and does not adequately reflect privacy, data protection, consumer protection, or security risks. Opening OS functions and mandating alternative app stores could create new attack vectors at a time when smartphones are on the front line of cybersecurity.
Since the Act will take effect on December 18, 2025, the immediate task is to ensure cautious implementation and avoid an unduly narrow interpretation of the justification clauses. In data-related competition policy, competition, data protection, and consumer protection must be addressed in an integrated and balanced manner. A fundamental review of the Act should also be considered from a cybersecurity perspective. Key areas—such as OS openness, alternative app stores, in-app payments, and out-linking—should be substantially narrowed in scope, while justification clauses should be broadened, safety obligations imposed on third-party entrants, and prompt removal of problematic apps ensured. The justification clauses should not be interpreted solely in formal or procedural terms.
The government should take the Act’s challenges seriously and implement responsible, user-oriented policies that prioritize smartphone safety.
本稿では、「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」(以下、同法を「スマホ新法」、引用部分を除き「スマートフォン」を「スマホ」という。)を巡る様々な問題点を取り上げ、同法の見直しに向けた提言を行う。スマホ新法に基づく下位法令や指針の検討を行った「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する検討会」は、2025年7月25日、公正取引委員会(以下「公取委」という。)に対する提言を公表した2。同提言は、将来的な課題として、同法が必ずしも生成AIの存在や影響を念頭に置いたものではないことから、公取委の実態調査を踏まえ、スマホを巡る競争環境に与え得る影響等を含め、適切に把握する必要がある旨を述べている。しかし、生成AIの影響を見据えた将来的な課題に取り組む以前に、筆者は、同法には根本的な問題があり、大幅な見直しが必要であると考えている。
公取委の概要説明資料によると、同法の背景・趣旨は次のように説明されている。
| スマートフォンが急速に普及し、国民生活及び経済活動の基盤となる中で、スマートフォンの利用に特に必要な特定ソフトウェア(モバイルOS、アプリストア、ブラウザ、検索エンジン。これらを総称して「特定ソフトウェア」という。)の提供等を行う事業者は、特定少数の有力な事業者による寡占状態である。 |
| 特定ソフトウェアに係る市場においては、当該事業者の競争制限的な行為によって、公正かつ自由な競争が妨げられている。一方、これらの市場については、新規参入等の市場機能による自発的是正が困難であり、また、独占禁止法による個別事案に即した対応では立証活動に著しく長い時間を要するとの課題があることから、公正かつ自由な競争を回復することが困難である。 |
| こうした状況を踏まえ、スマートフォンの特定ソフトウェアについて、セキュリティの確保等を図りつつ、競争を通じて、多様な主体によるイノベーションが活性化し、消費者がそれによって生まれる多様なサービスを選択できその恩恵を享受できるよう、競争環境を整備する必要がある。 |
(出典)公取委「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律の概要」(2024年9月)(https://www.jftc.go.jp/file/1-1_smartphone_houritsu.gaiyou.pdf)2頁。
スマホ新法に関する政令、規則及び指針は、2025年7月29日に公表された(以下、それぞれ「政令」、「規則」、「指針」3という。)。同法は同年12月18日に全面施行される。しかし、筆者は、規制対象の偏り、フリーライドの問題、消費者被害のリスク、DMAに倣うことの問題、正当化事由の狭さ等から、同法には賛成できない立場である。本稿では、同法の慎重な運用を求めるとともに、他の権利利益に十分配慮した制度への抜本的見直しを求めたい。紙幅の関係から、主に、アプリ及びアプリストア規制、OS機能への他事業者によるアクセス、正当化事由を中心に検討を行う。
スマホ新法は、①規制対象事業者(以下「指定事業者」という。)を指定し、②禁止事項及び遵守事項を定め、③指定事業者による規制の遵守状況に関する報告、公取委の執行権限等を定める法律である。同法は、特定分野に限らず広く「公正且つ自由な競争を促進」することを目的とする私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」という。)を補完する法令(特別法)である5。
欧州連合(European Union, EU)ではデジタル市場法(Digital Markets Act, DMA)が2022年9月14日に採択され、同年11月1日に施行された後、2023年5月2日から各国への適用が開始された6。DMAは、「コアプラットフォームサービス」(Core Platform Service, CPS)を提供する大規模プラットフォーム事業者を「ゲートキーパー」(Gatekeeper, GK)に指定し、講じるべき措置及び禁止事項を定めており、違反事業者は、前会計年度における全世界の年間総売上高の最大10%(8年以内に違反行為を繰り返した場合は最大20%)の制裁金を科せられる7。スマホ新法はDMAを参考にした、ないしは模範にした等と説明されており8、DMAとの比較に触れる先行研究も複数存在する。他方、スマホ新法は競争法の専門家から慎重な意見が出されている法律でもある9。
EUではDMAを「事前規制」(ex-ante regulation)と位置づけており10、スマホ新法も事前規制であると説明されている11。独禁法の定める「私的独占」や「不公正な取引方法」は、行為要件に加えて市場への悪影響という効果要件を満たした場合に違反となるのに対し、スマホ新法は、独禁法の「私的独占」や「不公正な取引方法」に類型的に該当する行為を禁止事項として定めており、行為要件を満たせば違反を構成する。公取委は市場への悪影響(排除効果ないしは反競争効果)を立証する必要がなく、その前提としての市場画定を行う必要はない12。しかし、同法が事前規制であるとの説明に対しては、問題行為や弊害が生じる前に規制するのではなく、行為規制と呼ぶべき内容であるという指摘や13、実際は行為が行われた後の「事後規制」であり、排除効果の立証が不要であるため独禁法よりも迅速に違反認定ができるに過ぎない14といった主張がある。
上記①について、公取委は、2025年3月26日、Apple Inc.(OS、アプリストア、ブラウザ)、iTunes株式会社(アプリストア)、Google LLC(OS、アプリストア、ブラウザ、検索エンジン)を指定した旨を公表した15。事業規模が一定基準に達すると当然に規制対象になる16。
2.2.禁止事項及び遵守事項②の禁止事項及び遵守事項の概要は以下の通りである。禁止行為の多くは、独禁法でも問題となり得る差別的取扱いないしは排他的取引(他者排除型抱き合わせ)であり、大半はいわゆる自社優遇といわれる行為であると説明されている17。
| (1)アプリ及びアプリストア 【アプリストア間の競争制限】 ・アプリストアについて、自社のものに限定するなど、他の事業者がアプリストアを提供することを妨げてはならない。(※ウェブサイトからのアプリの直接のダウンロードを許容することまでは義務付けない)(第7条第1号) ※ただし、セキュリティ、プライバシー、青少年保護等のために必要な措置であって、他の行為によってその目的を達成することが困難である場合、当該措置を講じることができる(正当化事由)。 【指定事業者以外の課金システムの利用制限】 ・他社の課金システムを利用しないことを条件とするなど、他社の課金システムを利用することを妨げてはならない。(第8条第1号) ※正当化事由あり 【アプリ内でのユーザーへの情報提供制限】 ・アプリにおいて、ウェブサイトで販売するアイテム等の価格や、ウェブサイトに誘導するリンクを表示することを制限してはならない。 (第8条第2号イ) ・ウェブサイトにおけるアイテム等の販売を妨げてはならない。(第8条第2号ロ) ※正当化事由あり 【アプリ事業者に対する不公正な取扱い】 ・アプリ事業者によるOSやアプリストアの利用条件、取引の実施について、不当に差別的な取扱いや不公正な取扱いをしてはならない。(第6条) |
| (2)指定事業者以外のブラウザエンジンの利用禁止 ・自社のブラウザエンジンの利用を条件とするなど、他のブラウザエンジンの利用を妨げてはならない。(第8条第3号) ※正当化事由あり |
| (3)指定事業者のサービスのデフォルト設定 ・デフォルト設定について、一般利用者が簡易な操作により変更できるようにしなければならない。(第12条第1号イ、第2号イ) ・ブラウザや検索等について、他の同種のサービスの選択肢を示す選択画面を表示しなければならない。(第12条第1号ロ、第2号ロ) |
| (4)検索における自社のサービスの優先表示 ・検索結果の表示において、自社のサービスを、正当な理由がないのに、競争関係にある他社のサービスよりも優先的に取り扱ってはならない。(第9条) |
| (5)指定事業者による不当なデータの使用 ・指定事業者が取得した、アプリの利用状況や売上げ等のデータについて、他のアプリ事業者等と競合するサービスの提供のために使用してはならない。(第5条) |
| (6)OSにより制御される機能への他の事業者のアクセスの制限 ・OSにより制御される機能について、他の事業者が、指定事業者がアプリにおいて利用する場合と同等の性能で利用することを妨げてはならない。(第7条第2号) ※正当化事由あり |
| (7)その他 ・データの管理体制等の開示義務(第10条) ・データ・ポータビリティのツール提供の義務付け(第11条) ・OS、ブラウザの仕様変更等の開示義務等(第13条) |
(出典)公取委・前掲「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律の概要」3頁をもとに、一部追記。
同法は、アプリ及びアプリストアに関する禁止事項、モバイルOS機能の利用妨害の禁止18に力を入れている。第7条1号及び2号、第8条1号及び2号は、違反行為等に関するサービス等の売上高の20%の課徴金納付命令の対象になる(10年以内に繰り返し違反行為が行われた場合は30%)(スマホ新法第19条、第20条)。指針では第6条から第8条2号までの規律に関する記載が半分弱を占める。
2.3.DMAとの関係スマホ新法はDMAに倣った規律を多く設けている19。2023年9月6日以降、欧州委員会は、Alphabet、Amazon、Apple、Booking、ByteDance、Meta、MicrosoftをGKとし、23のCPSを指定した20。DMAは、デジタル市場における「競争可能性」(contestability)と「公正性」(fairness)を目的としている(第1条1項)。
DMAの中心的規制は第3章に定められている(第5条~第15条)。本稿との関係では、GKに対する禁止及び義務規定(第5条、第6条)が重要である。第5条は実施すべき具体的な行為を定めずに義務化されることから「ブラックリスト」と呼ばれ、第6条は欧州委員会との対話を通じて違反行為の態様を具体的に定められることから「グレーリスト」と呼ばれている21。DMAは義務違反の正当化を認めておらず、事業の経済的生存性が危ぶまれる例外的事象が生じた場合の一時的不適用(第9条)、公衆衛生又は公安の確保が必要である場合の免除(第10条)が認められるに過ぎない22ことから、極めて厳格な規制といえる。
DMA第5条及び第6条の規定のうち、スマホ新法に類似規定があるとされるものを列挙すると次の通りである。
| 第5条-ブラックリスト | ||
|---|---|---|
| 規律 | 義務内容 | スマホ新法の類似規定 |
| CPS外取引の許容義務:第5条4項23 | GKは、ビジネスユーザーに対し、自社のCPSや他のチャネルを通じて獲得したエンドユーザーに広告宣伝を行い、契約を締結することを無償24で認めなければならない。 | 第8条2号イ |
| CPS外へのアクセスの許容義務:第5条5項25 | GKは、エンドユーザーが、CPSを利用せずに取得したソフトウェアアプリを用いて、CPSを通して、コンテンツ、サブスクリプション等にアクセス、利用することを認めなければならない。 | 第8条2号ロ |
| 他サービスとの抱き合わせ禁止:第5条7項 | GKは、ビジネスユーザーが、CPSを利用してサービスを提供する際に、自社の本人確認サービス、ブラウザエンジン、決済手段(アプリ内課金)等の利用、提供、相互運用を要求してはならない。 | 第8条1号、3号、4号26 |
| 他のCPSとの抱き合わせ禁止:第5条8項 | GKは、ビジネスユーザー又はエンドユーザーに対し、CPSの利用・アクセス・登録の条件として、GKが提供する他のCPSに加入又は登録するよう求めてはならない。 | 第7条1号イ27 |
| 第6条-グレーリスト | ||
| 規律 | 義務内容 | スマホ新法の類似規定 |
| ビジネスユーザーの非公開データの利用禁止:第6条2項 | GKは、ビジネスユーザーがCPSの利用を通じて生成、提供した非公開データを、当該ビジネスユーザーと競争する目的で利用してはならない。 | 第5条(OS、アプリストア、ブラウザ指定事業者について)28 |
| アプリのアンインストール、初期設定の変更:第6条3項 | GKは、そのOS上のソフトウェアアプリ29をエンドユーザーが容易にアンインストールできる機能を技術的に利用可能にしなければならない。GKは、エンドユーザーが、自社サービスに誘導するGKのOS、仮想アシスタント、ウェブブラウザのデフォルト設定を技術的に変更可能にしなければならない。 | 第12条 |
| サイドローディング:第6条4項30 | GKは、エンドユーザーに対し、そのOSを利用又は相互運用するサードパーティ製アプリ又はアプリストアのインストール及び効果的な利用を認め、技術的に利用可能にしなければならない。そのGKのCPS以外の方法でこれらのアプリ又はアプリストアにアクセスできるようにしなければならない。GKは、エンドユーザーがダウンロードしたアプリ又はアプリストアをデフォルト設定することを妨害してはならず、かつ、その変更を容易に行うことを技術的に可能にしなければならない。 | 第7条1号31 |
| ランキングにおける自己優遇の禁止:第6条5項 | GKは、ランキングや索引付け、クローリングにおいて、GK自身のサービス、製品を、サードパーティよりも優遇してはならず、透明、公平、差別のない条件を適用しなければならない。 | 第9条32 |
| 相互運用性の確保:第6条7項 | GKは、サービス事業者及びハードウェア事業者に対し、ハードウェアおよびソフトウェア機能への相互運用性とそれを目的としたアクセスを無償で認めなければならない33。 | 第7条2号 |
| データ・ポータビリティ:第6条9項 | GKは、エンドユーザー及びその代理人に対し、その要求に応じ、無償で、当該CPSの利用状況においてエンドユーザーが提供したデータ又はその活動を通じて生成されたデータの効果的なポータビリティを提供しなければならず、それには、当該ポータビリティの効果的な行使を促進するためのツールの無償提供や、当該データへの継続的かつリアルタイムなアクセスの提供を含む。 | 第11条 |
| 自社のアプリストア等へのアクセス:第6条12項 | GKは、自社のアプリストア、検索エンジン、オンラインSNSサービスについて、ビジネスユーザーに対し、公正、合理的、差別のない条件34によるアクセスを提供しなければならない。 | 第6条35 |
(出典)稲葉ほか公正取引、伊永、滝澤、平山、武藤等を参照の上、作成した。
以上に加え、DMAは、規制迂回行為を禁止している。欧州委員会は、GKにおいて、第5条~第7条36に定めるいずれかの義務を回避しようとした場合、第20条の定める手続を開始し、GKが実施しなければならない措置を定めた実施法令を採択することができる(第13条7項)。
DMAは、執行措置として、排除措置命令、制裁金支払命令、これらの措置に代わる確約決定に加え、消費者団体訴訟を許容する規定を設けている。制裁金については、前記の通り、違反事業者に対し、前会計年度における全世界の年間総売上高の最大10%(8年以内に違反行為を繰り返した場合は最大20%)の制裁金が科せられる(第30条)。
本節では、筆者の考えるスマホ新法の問題点を列挙する。正当化事由との関係は次節でまとめて触れる。
3.1.規制対象の偏り第1は、規制対象に偏りがあり、特定事業者のビジネスモデルへの過度な政府介入をもたらしかねない、という点である。同法に基づく課徴金命令の対象になるのは、他のアプリストアの提供妨害の禁止(第7条1号)、モバイルOS機能の利用妨害の禁止(第7条2号)、他の課金システムの利用妨害の禁止(第8条1号)、アプリ外課金等の提供妨害の禁止(リンクアウト)(第8条2号)である(第19条、第20条)。Appleのビジネスモデルを壊す危険を伴う規制に課徴金の定めが存在する。
指定事業者のうち、AppleとGoogleには大きなビジネスモデルの差が存在する。Googleは、オープンなエコシステムを提供することによって、広告で収益を得るビジネスモデルを採用しているため、上記の規制により受ける影響は限定的である。他方のAppleへの影響は甚大である。
Appleは、端末を自社製造し、OSはiOS、アプリストアはApp Storeに限定し、ブラウザはSafariをデフォルトに設定している。同社は、クローズドなエコシステムを構築することによって、消費者被害を防止し、プライバシー・個人情報を保護し37、セキュリティを担保するという戦略を採用してきた。こうしたブランディングが利用者の支持を得て企業価値を高めてきたことは間違いない。2024年10月時点における世界企業のブランド価値は、Appleが12年連続で首位を維持している38。
しかし、スマホ新法によって、Appleは、他社のアプリストアの参入や他の課金システムの導入、OS機能を他社に同等の性能で利用させることを強制される。これはあたかも、Appleに対し、法律という強制手段を用いて、本来ビジネスモデルの異なるGoogleに近接するよう求めるようなものである。こうした法律は偏向的といわざるを得ず、恣意的適用が懸念される。
スマホ新法の制定に先だって、デジタル市場競争会議は、2023年6月16日、「モバイル・エコシステムに関する競争評価 最終報告」(以下「競争評価最終報告」という。)を公表したが39、同会議における検討段階から、競争法の専門家によって問題提起がなされていた。具体的には、①プライバシー・個人情報保護、セキュリティを保護するためにクローズドなビジネスモデルを採用するか、プラットフォームの自由度を高めるオープンなビジネスモデルを採用するかは事業者の自由に委ねられるべきであること、②事業者はこれらのビジネスモデルに基づく品質競争を行っており、そのようなエコシステムの構築は可能な限り事業者の自由に委ねられるべきこと、③各社がそれぞれの思想の下で設計してきたエコシステムを「レベルプレイングフィールド」の名の下で均一化することにより、品質競争を阻害するリスクを孕むこと等40が主張されていた。特に、各社のエコシステムの一部のみを取り上げて「レベルプレイングフィールド」の正当性を持ち出す主張には懸念がある。
スマホ新法は、「競争促進」の名の下に、競争に介入する法律である。同法が対象とする「競争」は、iPhoneのエコシステム内(格段に低い程度でAndroidエコシステム内)に限定したシステム内競争であるが、競争で重要なのは、一企業のエコシステム内の競争ではなく、複数エコシステム間の競争であって、政府規制による介入は、かえってエコシステム間の競争を歪めるという指摘もある41。モバイルOSやアプリストアといったモバイル市場の主要なレイヤーは、激しい競争を経て、最終的にAppleとGoogleに集約されてきた経緯がある。スマホのエコシステム間の競争がイノベーションによってもたらされてきたことをスマホの歴史が示している42。
立法時の政府の意図は、巨大IT企業の独壇場だったスマホのソフトウェア市場に、「日本企業が参入しやすく」43なることであったが、アプリストアで両社と競争し得るような国内事業者が登場する可能性は低い。国内キャリアにとって、15年前であればアプリストアとして参入を検討したかもしれないが、既に成熟したアプリ市場でアプリストアを作るメリットはなく44、KDDIからは、2025年8月1日の社長の決算会見の際に、独自のアプリストアを設ける計画はないことが表明されている45。アプリストアとしての参入が見込まれるのは、Epic Games46と、欧州でネイティブポルノアプリを配信したAltStore47である48。
3.2.フリーライドの問題 3.2.1.投資回収・知的財産権の行使第2はフリーライドの問題である。OSレイヤーにおいて、OSの機能を提供し続けるために、収益を投資に循環させる仕組みの維持が不可欠であることはいうまでもない。また、アプリストア運営事業者は、アプリストアを通じてアプリの流通機能を担い、ユーザーに届ける役割を果たすとともに、技術の進展が著しい分野において、その機能を支えるための継続的な投資を行ってきた。そして、スマホのエコシステムを健全に運営する上で、プライバシー・個人情報保護やセキュリティを確保するための投資は不可欠である。Appleの2025年5月28日付資料によると、過去5年間で不正取引とみなされた取引90億ドル以上を阻止したとのことである。同社のApp Reviewチームは、週に15万件近くのアプリの登録を審査しており、アプリの審査は人手と自動処理の両方で行われ、ユーザーに潜在的に被害を与える疑いのあるアプリを検出し、対処している。2024年には770万件以上のApp Storeへの登録を審査し、プライバシー侵害や不正行為の疑いなど、セキュリティ、信頼性、ユーザー体験に関するAppleの基準を満たしていないことを理由に190万本以上の登録を却下した旨が公表されている49。
指定事業者が保有する知的財産権を保護する必要も高い。指針では、「また、例えば、著作権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権等の知的財産権が存在することを理由とする技術の利用に係る制限行為(注)50については、当該行為の目的、態様、競争に与える影響の大きさも勘案した上で、事業者に創意工夫を発揮させ、技術の活用を図るという知的財産制度の趣旨を逸脱し、又は同制度の目的に反しないかを検討するという従来の独占禁止法における運用に倣って判断する。その際、当該行為が知的財産権の権利行使と認められる場合には、法第5条から第9条までに違反しないと判断することとなる。」と記されている51。独禁法では「知的創作や努力のためのインセンティブ確保」52は一定要件の下で認められてきた。スマホ新法においても、指定事業者の知的財産権行使を不当に制約し、「フリーライダー」を容認することのないようにすべきである。この点は、後述する外部課金や代替決済手段のあり方とも関係する。法律上、指定事業者が手数料等の金銭的負担を課すこと自体は妨げられていない。しかし、指針の運用次第では、指定事業者の継続投資に対して正当な対価を支払わずに恩恵を受ける行為を助長するおそれもある。指定事業者の手数料徴収が不当に妨げられることのないよう、投資のインセンティブや知的財産権に十分に配慮した運用が求められる。
3.2.2.手数料を巡る議論指定事業者が収益を投資に循環させる上で大きな議論となるのは、手数料である。指針及び下位法令の案に対するパブリックコメントでは、事業者や事業者団体から、指定事業者と競合するサービス(代替決済手段、外部課金、代替アプリストア、周辺機器等)への手数料を無償にすべきと主張する意見が複数出されたが53、それはいずれも指定事業者の提供する価値への「フリーライド」を求める主張である。他方、市場競争によって決まるべき価格に対して競争当局が介入することに対しては大いに疑問であること、競争当局が過度な金銭的負担の有無を判断することは著しく困難であり、このような介入は基本的にすべきではなく、仮に行うとしても謙抑的に運用すべきとする弁護士の意見も出されている54。
指定事業者の課すアプリストアの手数料を高いと主張するアプリ開発事業者もいるが、必ずしもそうとはいえない。Appleは有料アプリやアプリ内課金に30%の手数料を課しているが、年間売上高100万ドル以下の小規模事業者、サブスクリプションを提供するアプリで登録から1年を経過したものは15%に軽減される。リーダーアプリの手数料はない。Googleも、年間合計収益が100万ドル未満の場合は15%、サブスクリプションは一律15%とされている55。手数料30%は業界の標準的水準であり、特別高額とはいえない56、アプリストアの手数料30%は、スマホ以前から存在し、PCゲームや家庭用ゲームのチャンネルと同水準であり、電子書籍などより安い場合もある57、といった意見がある。デジタル市場競争会議ワーキンググループ会合の中でも、アプリストアというマッチングシステムのシステム利用料にはマーケティング費等が入っており、それが30%というロジックであること、そのこと自身に全く違和感がないといった発言も見られた58。
競争評価最終報告では、App Store において iOS 用のアプリを公開している253の事業者、Google Play ストアにおいてAndroid 用のアプリを公開している241の事業者を対象にしたアンケート結果において、手数料を支払っている事業者の過半数が手数料を高いと回答したことが記されている59。しかし、そもそもアンケート調査の対象が少数の事業者であり、対象事業者の中でも手数料を支払っている事業者は4割程度に留まること、さらに手数料を支払っている事業者等の回答に基づき手数料が高いという結果が出されており、それをもって、「手数料の設定そのものに対してサードパーティ・デベロッパが納得していない状況」60と整理するには説得性が足りないように思われる。競争法の専門家からは、指定事業者には投資を回収する正当なインセンティブがあること、30%の手数料率を政府規制で是正すべきことの十分な根拠が示されていないこと、価格設定は市場メカニズムに委ねるべきであること、手数料への政府規制はディベロッパにとってフリーライドになり、長期的にはモバイル・エコシステムのサービスレベルを改悪させるおそれがあること等の指摘もなされていた61。経済産業省が実施した「デジタルプラットフォーム利用事業者向けアンケート調査結果」(2022年3月14日)では、デジタルプラットフォーム運営事業者に対して支払う利用料やその他料金等について、対価に見合ったサービスを受けていると思うかとの問いに対し、App Storeでは約75%、Google Playでは73%の利用事業者が、対価に見合ったサービスを受けていると思う、そうは思わないが説明に対しては納得しているといった回答を行っている(App Storeはn=298、Google Playはn=312)62。
指針が公表される前の公取委の解説では、モバイルOS機能の利用妨害の禁止(第7条2号)、リンクアウト(第8条2号)のいずれについても、「対価を求めることが、利用を妨げるものと評価され得る」63と解説されていた。他方、指針では手数料を巡る懸念が一定程度配慮されたものと考えられ、第7条1号、第7条2号、第8条1号、同条2号の解釈において、手数料等の金銭的負担が過度か否かについては個別に判断されることとなった。但し、指針には、「例えば、無償でかつ制約なく、同等の性能で本OS機能の利用を認めている場合は、法第7条第2号の「妨げる」には該当しないと認められる。」64という記述も残されている。
手数料を下げることによる指定事業者への影響も、AppleとGoogleでは大きく異なる。広告仲介プラットフォームであるGoogleは、アプリが無料化されても広告仲介手数料で収益を得られるが、広告事業を持たないAppleは、手数料を下げられると収益を得る手段を大きく制約されることとなる65。その意味でも、スマホ新法は、Googleを優位な立場に置き、Appleには不利に働く構造となっている。
指定事業者がそのサービスを提供する上で、提供する価値への対価を回収することは当然認められるべきであり、事業規模に応じて手数料率を設定することにも不当性はない。決済手数料の徴収は、大多数のアプリ開発者がアプリを流通させる障壁を取り払い、コストをかけずにアプリ開発を可能にするものであり、イノベーションの促進に資する合理的なマネタイズ方法であるという主張がある66。さらに、アプリストアの手数料は売上に比例して課されるため、アプリ価格に直接転嫁されにくく、仮に手数料率が現行の15又は30%から引き下げられても、短期的には消費者に目に見える形で利益が及ぶとは限らないとの指摘もある67。
国内でも外部決済に参入し、手数料負担の軽減を期待する事業者が登場している68。主にゲーム業界での参入に期待が寄せられているようだが、日本のゲーム業界は既に中国や韓国などの外国勢が台頭し、日本のスマホゲーム業界は不調と言われている。それは日本のゲームが売れないからであって、指定事業者がグローバルな基準で平等に課している手数料が原因というわけではない69。
3.3.消費者の「選択」と「安全」 3.3.1.消費者の脆弱性第3の問題は消費者への影響である。スマホ新法は、同法の意図する「競争」環境が整備されれば、消費者がそれによって生まれる多様なサービスを選択でき、その恩恵を享受できることを想定しているが、実際は逆効果である。
2025年7月、「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会 報告書」(以下「専門調査会報告書」という。)が公表された70。これは、超高齢化やデジタル化の進展等消費者を取り巻く取引環境の変化に対応するため、消費者の「脆弱性」71への対策を基軸とし、生活者としての消費者が関わる取引を幅広く規律する消費者法制度のパラダイムシフトについて、消費者委員会の求めに応じて調査審議を行った結果を取りまとめた報告書である。同報告書では、概ね次のように、①消費者には様々な脆弱性が存在すること、②デジタル社会におけるアテンション・エコノミーの進展に伴うリスクへの言及がなされている。
①については、高齢者の判断力低下や若者の知識や経験不足等、年齢や教育水準、経済状況等、ある集団に共通する特徴から捉える「類型的・属性的脆弱性」、全ての人が持つ脆弱性として、人は限られた範囲でしか合理的な判断ができないという「限定合理性による脆弱性」、人は誰しもが状況の影響を受けることもあり、状況次第では合理的に考えることが難しくなるという「状況的脆弱性」がある72。
「限定合理性」との関連では、人間の知覚や判断には様々な偏り(認知バイアス)があり、合理性には限界がある。また、人は直感的に処理する「システム1」と、熟慮的に思考する「システム2」を使い分けているが、熟慮が必要な場面でシステム2の働きが阻まれると、直感的な判断に偏り、適切な思考が妨げられることがある73。「状況的脆弱性」については、認知バイアスが利用されると、誰もが無意識に不利な行動に誘導されることがあり、こうした脆弱性は他者や環境との関係で変化し、程度の差はあれ、すべての消費者が抱える脆弱性である74。
そして、専門調査会報告書は、②に関して概ね次のような指摘を行っており、プライバシー・個人情報保護の観点からも重視すべき観点である。
インターネットの普及による情報過多社会では、人々の注意・関心・消費時間(アテンション)が希少資源となり、経済的価値をもって取引されている(アテンション・エコノミー)。その中では、より多くのアテンションを得ようとする事業者が、AIによって個人情報を分析(プロファイリング)し、反応の強いコンテンツや購入しそうな商品を提示する(レコメンデーション)、消費者の属性・趣味嗜好に応じた広告を配信する(ターゲティング広告)といった手法を利用している。従来は非商業的だった個人の時間までもが競争の対象となり、事業者の複層化により情報やアテンションの受け手も複雑化している。さらに、「刺激の競争」が激化する中で、偽・誤情報の拡散も助長される75。
同報告書は、続いて「このようなアテンション・エコノミーにおいて、個人は、取引の仕組み、提供している情報等の価値やその用途、同意の範囲・条件等について必ずしも十分に理解しないまま、情報、時間、アテンションを提供している可能性がある。また、プロファイリングに基づくレコメンデーション等により、個人は情報過多の中で自身が求める情報を得ることが可能となる一方で、個人の認知的傾向や「消費者の脆弱性」の分析・利用等により自覚のないまま誘導される可能性、依存性(嗜癖)や選好の偏りの強化が生じる可能性がある。」と述べている76。
技術が急速に進展し、環境変化の激しい現在では、消費者の抱える様々な脆弱性にきめ細やかに配慮しなければならない。同報告書は、「環境が大きく変化している現代社会では、個人は他者のサポートがなければ単独で選択することは困難となっており、他者からの不当な干渉がなければ十全な自己決定であると推定することも、個人の主観的な判断に委ねて自由を拡充すれば幸福が最大化されると考えることも困難となっている。」と指摘する77。
3.3.2.消費者被害のリスクスマホ新法の規制を望んだステークホルダーは、スマホゲームやデジタル広告の事業者団体等であり、消費者からの要望という側面は殆どなかった78。「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する検討会」の最終回会合においても、消費者保護の立場から、スマホ新法自体が多くの消費者から見て本当に必要かという点に疑問がある旨の発言が見られた79。同法の制定は、DMAと同じく政治主導の側面が大きい80といわれている。
実際、スマホ新法は、消費者の抱える脆弱性に配慮しているとはいいがたい。多様なアプリストア、多様な決済手段、多様なブラウザなどの選択肢が増えると、認知負担が増加し、かえって消費者の適切な判断を損ねる可能性がある。こども、高齢者やリテラシの低い者など、脆弱とされる主体にとってはより一層リスクが高まる81。アメリカのスタンフォード大学で行われた研究では、消費者がうっかりサブスクリプションサービスを解約し忘れることが、企業の売上高を推計14〜200%以上も押し上げたとの調査結果もあり82、選択肢が増えると契約先を忘れてしまうリスクも高まる。
そのような中で、同法は消費者に多様な選択のみを提供し、被害に遭うリスクには無言である83。
他社の決済手段を利用した場合を例に取ると、指定事業者の管理が他社の決済手段には及ばなくなるため、事後的に返金トラブルや契約先が把握できないなどの問題が発生した場合に、消費者の自己責任で解決しなければならない84。特にスマホゲームの課金を行う際に、日本の消費者が外国事業者の決済に誘導されると、消費者被害を拡大させるおそれがある。リンクアウトについても、リンク先に指定事業者の審査は及ばないため、消費者は、リンク先での契約トラブルやフィッシング詐欺等に見舞われる危険を甘受しなければならない。
スマホ新法がアプリストアの選択肢を増やし、OSを同等の性能で利用できるよう求めるのであれば、サードパーティのアプリ事業者等にも相応の法的義務を課すべきであったが、同法ではそのような規制は設けられていない。
Appleがクローズドな戦略を選択することで、消費者の経済厚生が低下しているのであれば、消費者はAndroidを選択することが可能である。オープンな戦略によって実現される経済厚生よりも、Appleの製品を選択する消費者がいるのであれば、それは公正な競争下での選択である。割高でも安全なサービスを提供するAppleのサービスをGoogleという競争者がいるにもかかわらず制限する結果、選択機会を失い、危険にさらされるのは消費者である。
下位法令案及び指針案に対して、全国消費者団体連絡会(以下「全国消団連」という。)」からは、「消費者」、「消費者安全」といった記載が殆ど見当たらないことへの懸念が示された85。情報法の専門家も、政令案や指針案において、直接的に消費者保護に触れる部分が少なく、保護の対象が限定的であると指摘している86。なお、下位法令及び指針のいずれにおいても、パブリックコメントを受けた修正は極めて限定的であったが、指針の成案では、「特定ソフトウェアに係る市場における公正かつ自由な競争の確保とスマートフォンの利用者における利便性や安全・安心の確保の両立を図ることが重要になる。」と記載され、利便性が一言追記された87。
3.3.3.アプリストアと個別アプリの審査他方、消費者保護については、個別アプリ事業者に対する不公正な取扱いの禁止を定める第6条の解釈の中で、一定の配慮がなされている。同条は、第7条又は第8条に関する迂回的行為を禁止する規定であり、第6条と第7条又は第8条が重複する場合は、原則として法第7条又は第8条が優先的に適用される88。指針では、第6条は次のように解釈されている。
「指定事業者が個別ソフトウェアに対して行う審査等において、公序良俗の観点も踏まえた審査項目(例えば、ヘイトスピーチ等の中傷的又は差別的コンテンツ、暴力を助長するようなコンテンツ、ポルノコンテンツ、偽情報又は不正確な情報を防止するための項目)や、いわゆるダークパターン(注2)89を防ぐ観点からの審査項目が設定されることもある。当該項目に基づく審査等を行うことは、通常、不当に差別的又は不公正なものとはいえず、法第6条の規定に違反しないが、当該項目の判断基準が合理性を欠くものであったり、当該項目に基づく審査等の運用が合理的な理由なく差別的であるなど当該審査項目に適合しない形で行われたりする場合はこの限りでない。」90
「(筆者注:第6条に該当する行為の想定例として)基本動作ソフトウェアに係る指定事業者が、代替アプリストアを利用する個別ソフトウェアに対して審査等を行う場合に、特定の個別アプリ事業者に対してのみ、追加的な審査項目を設けること。ただし、例えば、子ども向けの個別ソフトウェアに対して不適切なコンテンツを提供しないことを求める追加的な審査項目を設けることや、個別ソフトウェアのアプリ内課金に対してダークパターンを防ぐためのスマートフォンの利用者への情報提供を行うことを求める追加的な審査項目を設けることは、通常、合理的な理由が認められる。【想定例3】」91
このように、指定事業者のOS上で配布される全ての個別アプリは、公序良俗の観点から指定事業者による審査を行うことができると解される92。パブリックコメントでは公序良俗の観点を踏まえた審査項目を入れることへの慎重な意見93、偽・誤情報の対策を正当化事由に含めるべきとする意見94の双方が見られた。偽・誤情報の問題は、総務省の「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」で検討され、そのとりまとめ文書では、次のような多岐にわたるリスクが列挙されている95。いずれも社会の健全性や個人の権利等を保護することを内容としており、そのための審査項目を入れる必要性は論を俟たない。
(例えば、健康被害、災害時の救命・救助活動や復旧・復興活動の妨害、詐欺被害、事業者への風評被害を含む営業妨害等)
(例えば、誹謗中傷、なりすましによる肖像権等の侵害、ヘイトスピーチ等)
(例えば、集団分極化に伴う民主的政治過程への悪影響等)
(例えば、株価の下落、公共インフラの損壊、外交関係の悪化等)
そして、第7条1号は、指定事業者に対し、他の事業者によるアプリストアの提供を妨げることを禁じる規定であるが、同号の定める正当化事由は個別に列挙されており、消費者保護や偽・誤情報対策などの観点は明示的には含まれていない。また、同号はアプリストアの提供に関する規律であって、消費者が実際に利用する個別アプリの審査は同号の対象外となってしまう。そこで、指針では、第6条96の解釈によって、「指定事業者が個別ソフトウェアに対して行う審査等では、一般に、サイバーセキュリティの確保等(略)の観点からの審査項目(注1)97が設定されており、当該項目に基づく審査等を行うことは、通常、不当に差別的又は不公正なものとはいえず、法第6条の規定に違反しない。」98、さらに、個別アプリの審査について、「法第6条の規定に違反しない範囲内で行われた指定事業者による審査等の結果であれば、基本動作ソフトウェアに係る指定事業者の当該基本動作ソフトウェアにおいて特定の個別ソフトウェアの提供が認められなかった場合(例えば、前記アの公序良俗の観点も踏まえた審査項目に基づく審査等により、多数の特定の個別ソフトウェアの提供が認められなかった場合)であっても、代替アプリストアの提供を妨げるものとはいえず、法第7条第1号の禁止行為に該当することとはならない。」99という解釈がそれぞれ示された。後述する通り、正当化事由が守ろうとする権利及び法的利益の重要性に鑑みると、この整理については妥当と考える。
3.4.DMAに倣うことの問題 3.4.1.DMAの弊害第4は、DMAに倣うことに伴う問題である。DMAは、前述の通り、2023年5月2日から各国への適用が開始されたが、GKを指定する手続等が入ったため、実際に義務が適用され始めたのは2024年3月7日である100。欧州委員会は同年3月以降、AppleやMeta等に対して積極的な法執行を開始しているが101、Appleは2025年7月7日、欧州委員会によるDMA違反に基づく制裁金支払命令に対し、一般裁判所に上訴している102。
スマホ新法が成立したのは、DMAの義務が実際に適用され始めた時期から約3ヶ月後の2024年6月12日であり、拙速ともいうべき極めて早い段階であった。さらに、公取委は、2025年7月23日、下位法令及び指針を公表するに先だって、「公正取引委員会並びに欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局及び競争総局の間の協力取決め」を公表し103、スマホ新法とDMAの適用に関する情報交換を通じた協力枠組を構築する方針を打ち出した。
しかし、DMAの弊害はEUで既に生じている。Appleは自社の生成AIサービスの「Apple Intelligence」の提供を遅らせた104。また、EU版iPhoneでは、iPhoneをMac上から操作できる「iPhoneミラーリング機能」、友人等と画面を共有したり相手のデバイスをリモートで操作する「SharePlay遠隔操作共有機能」、iPhoneのロック画面に表示されるリアルタイム通知をMacで見る「Macでのライブアクティビティ表示機能」が提供されておらず105、ユーザーにかえって不便をもたらす状況が生じている。また、Appleが2025年9月に新製品として発表したAirPods向けライブ翻訳機能は、EUでは提供されていない106。
EUでは、AppleがDMAに基づき他社のアプリストアの参入を認めた結果、AltStoreからHot Tubというネイティブポルノアプリが配信された107。Appleにとっては著しいブランド価値の毀損である。なお、日本でも、App Storeから配信された「アルバムコレクション」上で児童ポルノが共有されたと報じられ108、この事例をもとにAppleの審査を過信しない方が良いとする主張も見られる109。しかし、このアプリは写真や動画の共有アプリに過ぎず、この件はアプリの用途が問題となった事例である。アプリの用途は事前審査において確認しようがなく、ネイティブポルノアプリとは問題の次元が異なる。むしろ、問題のあるアプリが発見された場合の削除の仕組みを担保することが重要である。
3.4.2.EUの規制動向「ブリュッセル効果」といわれるように、EUは、2016年4月に採択した一般データ保護規則(General Data Protection Regulation, GDPR)110をはじめ、アメリカのプラットフォーム事業者の台頭に対して次々と厳格な規制を設け、域外の規範形成に影響を与えてきた。欧州委員会は、2019年から2024年までの間における6つの優先的な政策課題の1つとして、「デジタル時代にふさわしい欧州」(A Europe fit for the digital age)を掲げ、デジタルサービス法(Digital Services Act, DSA)111、DMA、データガバナンス法(Data Governance Act)、データ法(Data Act)、AI法(Artificial Intelligence Act)等の制定を進めてきた112。しかし、EUの強力な規制戦略は必ずしも成功しているとはいえず、変化の兆しも見られる。欧州委員会は、2025年2月11日、AI責任指令案とePrivacy規則案の撤回計画を含む2025年作業計画を採択した113。また、欧州委員会は、規制の複雑さが中小企業への参入障壁をもたらしていること等から、単一市場における種々の規則を簡素化すべく、同年11月19日、デジタルオムニバス法案を提出した114。EUの規制動向にも動きがあることを俯瞰的に捉える視点も重要である。
なお、GDPRの適用が開始された2018年5月以降、アイルランドのデータ保護委員会は、ビッグテックに40億ユーロ以上の制裁金を科してきたが、実際に支払われたのは2,000万ユーロに留まり、多くの事案で争われている115。制裁金の効果は限定的でもある。
3.4.3.デジタル空間の健全性との関係DMAに倣うことに対しては別の角度からの問題もある。DSAとDMAは「デジタルサービス法パッケージ」(The Digital Services Act package)116を構成する二大法令として、一体的に採択された。DSAは、仲介事業者の種類に応じて、違法情報及び利用規約違反情報へのコンテンツモデレーション、ダークパターンの禁止、未成年者に対する高いレベルでのプライバシー・セキュリティ及び安全保護、広告の透明性、大規模事業者に対するシステミックリスクの評価及び緩和策などの規律を課している。特に、DSA第34項1項は、大規模オンラインプラットフォーム事業者及び大規模オンライン検索事業者に対し、サービスがもたらす社会的規模のシステミックリスクを特定、分析、評価することを義務付けている。リスク評価の考慮要素に含まなければならない事項として、(a)サービスを通じた違法コンテンツの拡散、(b)基本権行使に対する現実的又は予見可能な悪影響であって、特に、EU基本権憲章に定める人間の尊厳(基本権憲章第1条)、私生活及び家族生活の尊重(同第7条)117、個人データ保護(同第8条)、表現の自由及び情報の自由(同第11条)、差別禁止(同第21条)、児童の権利の尊重(同第24条)、高いレベルでの消費者保護に関する権利(同第38条)等が含まれる(DSA第34条1項(c)号以下は略)。上記の大規模事業者は、同条のリスク評価に基づき特定されたシステミックリスクについて、合理的、比例的かつ効果的な緩和措置を定めなければならない(DSA第35条1項)。
このように、DSAは、プラットフォーム事業者への規律を定める中で、重要な諸権利を考慮に入れるよう求めており、公正かつ安全なデジタル空間を実現するための措置を講じている118。しかし、日本の法令にはDSAに相当するものはなく、現状、DMAに倣った法律のみがスマホの分野のみで制定されている。なお、「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」(一般に「情報流通プラットフォーム対処法」といわれる。)を「日本版DSA」と表現する向きもあるが、同法はいわゆるプロバイダ責任制限法の規律に加え、大規模プラットフォーム事業者による削除対応の迅速化、運用状況の透明化を定めているに過ぎず、DSAとは規律の内容も粒度も大きく異なる。
公取委は、スマホ新法の3年後見直しの際に、DMAにさらに倣う形でデジタルサービスを広く対象に含める可能性がある119。しかし、スマホ新法が拡大・強化され、よりDMA類似の法令になった場合、デジタル空間の健全性に関する政策との差が生じ得る。デジタル空間の健全性については、総務省の「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」、「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会」120などを通じて検討が進められてきた。いずれにおいても、DSAや英国のオンライン安全法を含む諸外国の動向を踏まえた議論が行われたものの、全体的には慎重な議論といえる。その理由の1つに、違法・有害情報の流通は、表現の自由の基盤となるデジタル空間の健全性を脅かすが、その対策としてコンテンツの削除等を政府規制で義務付けると、かえって表現の自由を制約し、デジタル空間の健全性を脅かしかねないことが挙げられる。
仮に日本でDMAとDSAに類する包括規制を導入すれば、アメリカから不必要な反発を招く懸念が生じる。2025年2月21日にトランプ大統領が署名した大統領令では、DMAやDSAなど、アメリカ企業と消費者との関わりをEUが指図するような規制は、アメリカ政府の精査の対象になると述べている121。同年7月24日、アメリカ商務長官のハワード・ラトニック氏は、CNBCのインタビューに対し、DMA及びDSAを挙げ、テック規制の猛攻を阻止しなければならない旨を発言し122、同年8月7には日、アメリカ国務長官のマルコ・ルビオ氏が、DSAを表現の自由への「不当な」制限であるとし、反対するロビー活動を開始するよう欧州駐在のアメリカ外交官に指示したと報じられている123。
個人情報保護法の分野に携わってきた立場から見ても、EUの政策に拙速に歩み寄る姿勢には違和感が拭えない。個人情報保護の分野ではEUとアメリカの制度に大きな違いがあり、特に国による監視行為との関係で、越境データ移転の可否を巡る攻防が繰り広げられてきた。最近では、国家的統制色の強い中国でも個人情報保護法が制定されている。日本は、データ保護を巡る複雑な国際環境において、EUとの困難な対話を経て2019年1月23日に十分性認定を受けた。個人情報保護委員会は、2023年4月4日、十分性認定のレビューの完了を公表し、その後、EUとの間で学術研究分野や公的部門への十分性認定の拡大に向けた対話を進めてきた。同委員会は、2025年9月18日、手塚悟委員長と欧州委員会のマグラー委員との会談結果を公表した。それによると、学術研究分野における協議が成功裏に終了したこと、公的部門への十分性認定の対象範囲の拡大に向けた共同作業の進捗を年末までに確認することで一致したと説明されている124。
他方、同委員会は、経済産業省と共同で、APECのCBPR(Cross Border Privacy Rules)参加エコノミーとして、2022年4月21日、グローバルCBPRフォーラムの設立宣言に合意した125。CBPRはアメリカが主に推進する越境データ移転の枠組である。個人情報保護法については、EU及びアメリカの利害関係を慎重に見極めつつ、制度の調和的発展に向けた努力が積み重ねられてきた。
3.4.4.DMA・DSAと他の権利利益DMAもDSAも包括的かつ厳格な規制といえるが、他の権利利益に配慮をした規定を随所に設けている。いずれの法令も、消費者保護に関するEU法及びGDPRなど他のEU法を侵すものではないことが明記され(DMA前文(12)項、第5条2項、DSA前文(10)項、第2条4項(g)号)、個人データ及びその取扱いに関わる定義はGDPRに倣っている(DMA第2条(25)号、(31)号、(32)号、DSA第26条3項等)。こどもの保護はEUの重要な政策目標として位置づけられている(DMA前文(38)項、DSA前文(71)項)。
DMAの各規定を見ると、データ結合禁止規定(第5条)は、GDPRに基づく同意がある場合には適用されず126、また、GKが個人データを取り扱う際に、GDPR第6条1項(c)号、(d)号及び(e)号127に依拠する可能性を侵害するものでない(第5条2項)。ポータビリティに関わる義務のうち、個人データについて、GKは、ビジネスユーザーがCPSを通じて提供する製品・サービスの利用に直接関連する個人データについて、エンドユーザーが事前に同意をした場合に限り、アクセスおよび利用を認めなければならない(第6条10項)。GKの義務は、GDPRに基づくデータ・ポータビリティ権を補完するものと位置づけられている(前文(59)項)。番号に依存しない個人間通信サービスの相互運用性に関する義務について、個人データの当該収集及び交換は、GDPR及び電子通信プライバシー指令を完全に遵守しなければならない(第7条8項)。GKは、第5条、第6条及び第7条の遵守と証明をしなければならないが、GKが講じる措置については、該当する法令、特に、GDPR、電子通信プライバシー指令、サイバーセキュリティ、消費者保護、製品安全、及びアクセシビリティ要件を遵守することを要する(第8条1項)。
迂回防止規定についても、DMAに基づく同意が求められる場合、GKは、GDPR又は電子通信プライバシー指令に基づく必要な同意を直接取得できるようにするか、又は、該当する場合はビジネスユーザーに匿名化データを提供するなどの措置を講じなければならない(第13条5項)。GKは、消費者のプロファイリング技術に関する独立監査報告書を欧州委員会に提出し128、同委員会は、受領した監査報告書を欧州データ保護会議に送付しなければならない(第15条1項)。GDPRの執行に関わる機関がDMAの遵守担保の仕組みにも関与する体制が取られている。
DSAは、いわゆるダークパターンの禁止を定めているが(第25条)、不公正取引方法指令129及びGDPRの規律の及ばない実務を対象とする(同条2項)。オンラインプラットフォーム事業者は、GDPR第9条1項に定める特別な種類の個人データ130を用いて、同第4条(4)号のプロファイリングに基づき、サービス利用者に広告を表示してはならず(第26条3項)、未成年者に対し、プロファイリングに基づく広告をそのインターフェース上で示してはならない(第28条2項)。これらはいずれも、個々人向けのターゲティング広告を表示する際に、脆弱性に訴えかけるデータを用いたり、脆弱な立場に立つ者に働きかけることによる社会的弊害を考慮したものである (DSA前文(69)項、同(71)項参照)。オンラインプラットフォーム事業者は、そのサービスにおいて、未成年者のプライバシー、安全及びセキュリティを高いレベルで保障するために適切かつ均衡の取れた手段を講じるよう義務付けられる(第28条1項)。
このように、EUは、他の権利や法的利益に触れる立法を行う際に細やかな調整を行っているという点にも着目すべきである。スマホ新法の文言上は、一部の規定に正当化事由の定めが存在するに留まる。
スマホ新法及び同法施行令の定める正当化事由は次の通りである。
「サイバーセキュリティの確保等(スマートフォンの利用に係るサイバーセキュリティ基本法(平成26年法律第104号)第2条132に規定するサイバーセキュリティの確保、スマートフォンの利用に伴い取得される氏名、性別その他のスマートフォンの利用者に係る情報の保護、スマートフォンの利用に係る青少年の保護その他政令で定める目的をいう。次条において同じ。)のために必要な行為を行う場合であって、他の行為によってその目的を達成することが困難であるときは、この限りでない。」(法第7条但書、第8条1号~3号に関しても但書が適用)。
「法第7条ただし書の政令で定める目的は、次に掲げる目的とする。
一 スマートフォンの動作の著しい遅延その他のスマートフォンの異常な動作の防止
二 スマートフォンを利用して行われる賭博133その他の犯罪行為の防止
(同一の商品又は役務を関連ウェブページ等を通じて提供する場合に準ずるものとして政令で定める場合)」(施行令第2条)
すなわち、正当化事由として認められるのは、①サイバーセキュリティの確保、②スマホ利用者に係る情報の保護、③スマホの利用に係る青少年保護に加え、④スマホの異常な動作の防止、⑤スマホを利用して行われる犯罪行為の防止である。指針全体にわたり、②については、総務省の利用者情報に関するワーキンググループが公表した「スマートフォン プライバシー セキュリティ イニシアティブ」(以下「SPSI」という。)の取組が参照されており、2025年9月10日付の最新版では青少年保護が追加された134。
上記の正当化事由は、他のアプリストアの提供妨害の禁止(第7条1号)、モバイルOS機能の利用妨害の禁止(第7条2号)、他の課金システムの利用妨害の禁止(第8条1号)、アプリ外課金等の提供妨害の禁止(第8条2号)、他のブラウザエンジンの利用妨害の禁止(第8条3号)に適用される。
指針は、①~⑤の正当化事由について、概ね次のように説明している。
①スマホの利用に係るサイバーセキュリティの確保
これは、サイバーセキュリティをスマホにおいて確保することを意味する。「サイバーセキュリティ」は、サイバーセキュリティ基本法第2条の定めによる。具体的には、OS機能が不正アクセスにより利用されることの防止、スマホ端末に保存されたデータへの不正アクセスによるデータ漏えい、滅失、毀損の防止、OS機能の利用によるスマホの停止や著しい性能低下(第三者の不正利用によるネットワークの動作停止や著しい性能低下を含む。)の防止、OS機能にアクセスする個別ソフトの欠陥による、端末保存データ(写真、連絡先等)の漏えい、滅失、毀損の防止、マルウェアやランサムウェア等の対策を行わない代替アプリストアの提供防止、脆弱性対策を講じないブラウザエンジンを用いた個別ソフトの提供防止などが含まれる。国家安全保障及び経済安全保障の観点からも、スマホのデータ漏えい防止などのサイバーセキュリティ確保や利用者情報保護の措置は、正当化事由に該当する135。
②スマホ利用者に係る情報の保護
これは、スマホ利用者が端末に保存した利用者情報やスマホの利用に伴い生成された利用者情報などを保護することを意味する。具体的には、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という。)や電気通信事業法の利用者情報に係る規定など現行法令で求められている対応のほか、現行法令の趣旨を踏まえたようなスマホ利用者の情報保護を行うための対応も含まれる。
例えば、スマホ利用者の同意を得ずに、広告の配信及び表示を目的に利用者情報(広告ID、端末ID、サードパーティクッキーなど)を取得等する行為を防ぐため、代替アプリストアに措置を求める対応、マイク音声や位置情報、写真・動画などの利用者情報をOS機能を通じて取得する際、利用者の同意をOS機能の利用条件とすること、誤認を招くインターフェースにより利用者情報を取得する個別アプリを提供する代替アプリストアが、OSで提供されることを防止する対応、個別アプリが利用者情報を外国の第三者等に提供する場合に、代替アプリストアに対し、利用目的・情報の項目・提供先の国名などをプライバシーポリシーに記載するよう求める対応、課金アイテムを提供する個別アプリ事業者に対し、誤認を招くインターフェースによって利用者情報を取得する行為の防止、政府機関等の提供する個別アプリに保存された機微な利用者情報が、他のアプリを通じて悪用されることの防止などが含まれる136。
③スマホ利用に係る青少年の保護
これは、青少年がスマホを利用する際にトラブルや問題に巻き込まれることの防止を意味する。具体的には、未成年の重課金・誤課金を防ぐためのペアレンタルコントロール機能の設定、有害なアプリを提供する代替アプリストアの利用に対するペアレンタルコントロール機能の設定、代替アプリストアに対する年齢制限(レーティング)や機能制限の設定要求、未成年者に対するプロファイリングに基づくターゲティング広告の不実施など、代替アプリストアに対する、一般より厳格なプライバシー保護基準を設定する旨の要求などが含まれる137。
④スマホの異常な動作の防止
これは、端末のハードウェアの物理的な安全性を確保する観点から異常な動作を防ぐことを意味する。具体的には、バッテリーの過負荷による異常発熱や端末の機能停止の防止、半導体への過負荷による動作の異常遅延の防止、バッテリー、中央演算装置(CPU)又は画像処理装置(GPU)への過負荷による端末の機能停止の防止、個別アプリの動作によりスマホのバッテリー又はモデムチップなどの半導体に過負荷がかかり、端末性能が著しく低下することの防止などが含まれる138。
⑤スマホを利用した犯罪行為の防止
これは、スマホを利用した刑事罰の対象となる行為を未然に防ぐことを意味する。具体的には、代替アプリストアに対する、スマホ利用者を誤認させる広告や契約方法を制限する旨の要求、サブスク契約時にサービス内容や解約条件などを最終確認画面で表示する旨の要求、法律で禁止されたり許認可が必要な商品・サービスを無許可で提供・宣伝する個別アプリを排除する措置の要求のほか、指定事業者のOSにおいて、犯罪に利用される可能性が高いアプリを代替アプリストアで提供させないこと、海賊版コンテンツを提供する個別アプリを代替アプリストアで提供させないこと、詐欺サイトへの誘導リスクを最小限にするため、リンクアウトの提供に必要な条件を課す対応などが含まれる139。
正当化事由の概要は上記の通りであるが、スマホ新法の文言や指針(当時は案)において消費者保護に直接触れる部分が少なく、客体が「青少年」に限定されていることを狭いと指摘する意見がある140。また、スマホ新法を議論した国会審議においても、様々な詐欺被害等に晒されている高齢者の安心を守れるのか、といった問題提起がなされた141。全国消団連のパブコメ意見書では、今やスマホは全世代が活用するようになっており、高齢者のトラブルも多発していることから、より広く「消費者の保護」、「消費者安全の確保」という文言を加えるべきことなどを主張している142。筆者も同意見である。
4.2.正当化事由の該当性 4.2.1.正当化事由の判断基準正当化事由に該当するためには、目的及び手段に関する法令上の要件を満たす必要がある。指針では、正当化事由の有無を判断する上で、①当該行為が当該目的のために行われていると客観的に評価され、②「他の行為によってその目的を達成することが困難である」か否かは、指定事業者が実際に採り得る代替的手段との比較、サイバーセキュリティの確保等と競争の促進の衡量に配慮しつつ、個別具体的な事情を踏まえた判断を行い、専門的知見を有する関係行政機関の意見を十分に斟酌すること等が説明されている143。例えば、第7条に違反しない想定例として、指定事業者が代替アプリストアを審査し、同ストアが審査基準を満たしていない場合には、OS上での当該代替アプリストアの提供を禁止すること【想定例 35】、指定事業者が青少年の保護の観点からペアレンタルコントロール機能を付すこと【想定例 36】、代替アプリストアが知的財産権を侵害しているおそれがある場合に、指定事業者が犯罪行為の防止の観点から一定の変更をさせること【想定例 37】、外国政府等による情報収集活動に協力する義務を負う者が運営する代替アプリストアについて、利用者情報保護等の観点から代替アプリストアの利用を認めないこと【想定例 38】が挙げられている144。なお、【想定例38】はセキュリティ保護の意味合いも強く、指針上、「国家安全保障や経済安全保障の観点からも、スマートフォン経由で当該スマートフォン端末に保存されたデータが漏えいする等の行為を防ぐなどの措置が十分に行われることが重要であり、そのようなスマートフォンの利用に係るサイバーセキュリティの確保又はスマートフォンの利用者に係る情報の保護の確保のための措置は、法の正当化事由に通常該当するものである。」145と整理されている。
4.2.2.利益衡量の視点正当化事由については、指定事業者の行為に目的の正当性があったとしても、手段の要件を満たすためには「当該行為以外のより競争制限的でない行為によっては、当該目的を達成することが困難である場合」であることを要する146。
独禁法上の正当化事由は、正当な目的を実現しようとする行為であること(目的の正当性)、手段が目的に相当する必要な範囲内にとどまること(手段の相当性)を満たすことで認められる147。これに対し、スマホ新法はLRA(Less Restrictive Alternative)の基準を採用しており、この基準は、手段の相当性よりも厳しいこと、指定事業者の主張に対しては手段の観点から厳格に判断することが見込まれると説明されている148。この基準に対しては、パブリックコメントにおいて、ユーザー保護、サイバー攻撃の防止、悪意ある第三者からの機密データ保護等に対する危険を懸念する意見が出されている149。
他方、独禁法の解釈との関係で「この基準(筆者注:LRAの基準)に完全に依拠してしまうと、目的の実現に必要な範囲内の手段であっても、さらにLRAが見つかれば違反となってしまう。神経質な法適用となり、予見可能性も失われるおそれがある。」という指摘がある150。この立場は、「容易に実現可能なLRAがあることが事前にわかっている場合は、実際に行われた行為に手段の相当性があるとする主張が成立する可能性が低くなる、という程度に理解しておくのが適切である。」と述べている151。
筆者は、手段を厳格に定める文言には賛成しない。スマホ新法が保護しようとする利益は、特定ソフトウェアに係る公正かつ自由な競争の促進、主に特定ソフトウェアを利用する事業者の経済的利益である。他方、同法の規制によって制約されるのは、プライバシー・個人情報保護、セキュリティ保護、消費者保護、青少年保護に関する権利及び法的利益等である。個人情報保護法第3条は、「個人情報がプライバシーを含む個人の人格と密接な関連を有するものであり、個人が「個人として尊重される」ことを定めた憲法第13条の下、慎重に取り扱われるべきことを示すとともに、個人情報を取り扱う者は、その目的や態様を問わず、このような個人情報の性格と重要性を十分認識し、その適正な取扱いを図らなければならないとの基本理念」152を示した規定である。セキュリティには個人レベルから国家レベルのものまで多層的なものが含まれ、最近では、国家安全保障戦略のもと、2025年5月16日にはサイバー対処能力強化法及び同整備法が成立した。サイバーセキュリティ対策には高度な専門的知識を要し、日々刻々と変化する脅威に迅速に対応しなければならない。消費者や青少年は脆弱な主体としてより手厚い保護を受けるべき者である。LRAを形式的に適用すると、目的達成のための手段が他に存在する限り、正当化事由が認められないという解釈になりかねないが153、国の安全や人格権ないし人格的利益に関わるものが侵害されると、その回復は困難である。
筆者が特に懸念するのは利益衡量の視点である。公取委は、パブリックコメントの提出意見に対する考え方を示す際に、「特定ソフトウェアに係る市場における公正かつ自由な競争の確保とスマートフォンの利用者における利便性や安全・安心の確保の両立を図ることが重要」という表現を繰り返し使っている。しかし、筆者は、同法の求める「競争」環境を整備するために、上記の重要な権利利益に譲歩を求めるという利益衡量の観点は妥当か、という点に疑問を抱いている。競争法の専門家からも、情報セキュリティという非常に重要な利益を犠牲にするような政策は妥当ではないという主張がなされている154。正当化事由はその成立を主張する指定事業者が立証責任を負うが155、少なくとも、手段において厳格な解釈を行うべきはなく、指定事業者に過度な説明義務を課すべきでもない。
4.3.正当化事由の範囲 4.3.1.適用対象前述の通り、スマホ新法の明文上、正当化事由は、他のアプリストアの提供妨害の禁止(第7条1号)、モバイルOS機能の利用妨害の禁止(第7条2号)、他の課金システムの利用妨害の禁止(第8条1号)、アプリ外課金等の提供妨害の禁止(第8条2号)、他のブラウザエンジンの利用妨害の禁止(第8条3号)に適用される。同法の解説によると、「取得したデータの不当な使用の禁止」には正当化事由は一切勘案されず(第5条)、正当化事由が明文で定められている規定(第7条1号、2号及び第8条1号~3号)は内容等が特定された正当化事由のみを勘案でき、「個別アプリ事業者に対する不公正な取扱いの禁止」(第6条)、「検索エンジンに係る指定事業者の禁止行為」(第9条)は独禁法と同様に比較的広い正当化事由を勘案できると説明されている。但し、第5条も独禁法に鑑みれば解釈により正当化事由を勘案する余地がないとはいえない旨も付言されている156。他方、公取委は、「一般的に正当化事由が認められる余地があることを真正面から認めてその旨を指針案に明示すべき」とする弁護士の意見に対し、正当化事由が第7条各号及び第8条第1号ないし第3号以外の条文に適用されるものではないという立場を示している157。
筆者は、正当化事由を特定の文言に限定する理由はなく、現行規定以外においても正当化事由に含めるべきものがあれば、それを文言上明らかにすべきと考える。一例を挙げると、My Data Japanが下位法令案及び指針案のパブリックコメントに対して提出した意見書においても、デフォルト設定の切り替えを定める第12条に正当化事由の考え方を考慮すべきことが既に主張されている158。競争法の専門家からも、正当化事由を限定列挙してもそれ以外に認めざるを得ないものが出てくる可能性が高く、「正当化事由とすべきものは、逐次の政令改正を待つことなく、法律の中に読み込んでいくという態度が必要となるのではないか」という考えが示されている159。
4.3.2.サイバーセキュリティ160 (1)情報セキュリティ10大脅威正当化事由の中でも特に注目すべきは、多層的な被害をもたらすサイバーセキュリティのリスクである。スマホの利用者情報には、位置情報、契約者・端末固有ID、電話帳データ、映像・写真情報、SNSの利用履歴、通話履歴、アプリ利用情報、ネット利用履歴、電子メールなど、生活全般の多岐にわたる情報が保存されている161。近時は特にサイバーセキュリティの脅威が深刻化しており、スマホは格好の攻撃対象となり得る162。
情報処理推進機構(IPA)の公表した「情報セキュリティ10大脅威(2025年)」によると、「不正アプリによるスマートフォン利用者への被害」は2016年から10年連続、「スマホ決済の不正利用」は2020年から6年連続でランキング入りしている。特に、前者の不正アプリについて、IPAは、スマホ内の情報の窃取や不正操作の可能性があること、認証情報が盗まれるとキャリア決済の悪用や不正アクセスにつながること、DDoS攻撃の踏み台にされるなど気付かないうちにスマホを悪用されるおそれがあること、さらにアドレス帳の連絡先に不正アプリを広めるSMS等が送信され、被害を拡大させるおそれがあることがリスクとして挙げられている。その対策として、IPAは、ソフトの更新等の基本対策に加え、アプリを公式マーケットから入手すること(但し、公式マーケットにも不正アプリが隠れている可能性があるため、レビューや評価、アプリ開発者の情報、更新履歴等も確認し、信頼できるアプリかどうかを判断すること)、アプリインストール時にアクセス権限を確認すること、提供元不明又は信頼されていないディベロッパのアプリをインストールしないこと、不要なアプリをインストールしないこと、インストールされているアプリを確認すること、アプリ更新時に更新内容を確認することなどを呼びかけている163。
(2)国家安全保障のリスク国家安全保障や経済安全保障上の脅威をもたらした事例に、イスラエル企業であるNSOグループが開発した犯罪監視用の「ペガサス」というスパイウェアが中東などの政府に販売され、世界各地のジャーナリストや人権活動家らのスマホのハッキングに使われていた事例がよく知られている164。表現の自由への深刻な脅威をもたらす事案でもある。
ペガサスは、暗号化を含むセキュリティを破って相手のスマホに不正侵入し、スパイウェアの存在を知られることなく、送受信したあらゆるテキスト、通話内容、位置情報、写真、動画、メモ、閲覧履歴に加え、カメラとマイクロフォンも起動することができる。被害者には、国家元首、王族の行為のメンバー、閣僚、法執行機関の者、野党所属の政敵、反体制派、人権活動家、大学教授や研究者なども含まれていた165。2022年にはスペインの現職首相と国防相のスマホがペガサスに感染してハッキングされたと報じられた166。位置情報の漏えいは、端末保有者の所在を特定し、ピンポイントの物理的攻撃も可能にする167。アメリカ商務省は、ペガサスの事案を受け、2021年11月3日、NSOグループに事実上の禁輸措置を課すと発表し168、その後、バイデン大統領(当時)は、2023年3月27日、国家安全保障上のリスクをもたらす商用スパイウェアのアメリカ政府による利用を禁止する大統領令に署名した169。
日本では、前述の通り、2025年5月16日にサイバー対処能力強化法及び同整備法が制定された。近年、サイバー攻撃による政府や企業からの情報窃取等や、重要インフラ等の機能を停止させる高度な攻撃への懸念は急速に高まっている。特に重要インフラの機能停止や破壊を狙う、国家を背景としたサイバー攻撃は、日常的に行われており、安全保障上の重大な懸念となっている170。上記各法はこうした事態を背景に制定されたものであり、特に、能動的サイバー防御は国家の最重要政策の1つといえる。
(3)Androidを標的とするマルウェア攻撃Androidを標的とするマルウェアも数多く報じられている。Trend Micro社は、2023年4月、フィッシングサイトを介した詐欺アプリ、暗号資産マイニングや収入増加を謳った詐欺アプリがAndroid端末から配信されたこと171、同年5月、890万台のAndroid端末にマルウェアがプリインストールされていること172をそれぞれ注意喚起した。
アメリカ、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのセキュリティ当局は、2023年8月31日、「Infamous Chisel」というマルウェアの分析レポートを公表した173。ロシアが関与したと見られるこのマルウェアは、ウクライナ軍が利用するAndroidデバイスを標的としていた。「SSH」や「Tor」経由で外部からアクセスでき、ネットワーク環境の調査やファイルを取得する機能を搭載し、端末に関する情報のほか、ウクライナ軍が利用するアプリケーションなどの情報などが窃取されたと報じられた174。
中国でも、2023年4月、中国で7億人超の顧客を持つ大手通販サイト「ピンドゥオドゥオ」のアプリにスパイウェアが搭載されていたことが問題となった。このスパイウェアは、Android OSの弱点を悪用し、各種メッセージ、ユーザーの端末活動状態や設定変更に至るまでの全てを監視できるものであったと報じられた175。「ピンドゥオドゥオ」は、日本では「Temu」の名称で利用が伸びているサービスである。
カナダでは、2020年、政府の公式を装ったコロナ接触追跡アプリがGoogle Play上で配布され、ダウンロードしたユーザーの端末をランサムウェアに感染させるという被害が発生した176。IPAの前記「情報セキュリティ10大脅威2025」によると、ランサム攻撃による被害は、2016年以降10年にわたり、組織向け10大脅威の1つに掲げられ、2025年には1位にランキングされた177。国内でも、2024年夏、KADOKAWAでランサム攻撃により約25万人分の個人情報が漏えいし、大きな注目を集めた178。パブリックコメントの中にも、社員の業務用スマホでのセキュリティ水準を低下させるおそれを懸念する意見や、医療機関が日常的に利用する医療情報システムに深刻なセキュリティリスクを及ぼす可能性を懸念する意見が見られる179。
以上はごく一部の例に過ぎないが、セキュリティの低下がもたらす多岐にわたる深刻な懸念は真摯に受け止めなければならない。前国家安全保障局長は、AppleなどのOSプロバイダに依存せず、第三者経由によるアプリのダウンロードを認める「サイドローディング」を義務化することは、「わが国の安全保障を自らの手で危うくすることに等しい」と警鐘を鳴らしている180。
2025年6月24日からiPhoneのウォレットにマイナンバーカードを追加できるようになった。Appleウォレットの身分証明書機能をアメリカ以外に展開するのは日本が初とのことである181。モバイルの身分証明を安全に使うためにも、高いセキュリティとプライバシーの保護措置は必須である。
(4)相互運用性のリスク相互運用性といわれる第7条2号の規定もセキュリティの懸念が大きい。スマホ新法はOS機能の範囲を限定しておらず、指針では、「一般にカーネルと呼ばれるものを含む中核的な部分を構成するものであるか否かを問わず、法第2条第2項の定義に該当するソフトウェアが全て含まれる。例えば、カーネル以外の構成要素や、当該中核的な部分と個別ソフトウェアの間に位置付けられるソフトウェア(一般にミドルウェアと呼ばれる。)も含まれ得る。」と述べている182。指針は、「同等の性能」、「妨げる」の解釈を示し、違反となる場合とならない場合の想定例を数多く列挙している183。
しかし、OS機能の開放がセキュリティを危険にさらすことに変わりはない。CrowdStrike社が2024年7月に引き起こした世界的なシステム障害は記憶に新しい。この事案では、同社の提供する「Falcon」というセキュリティ製品の更新プログラムに含まれていたバグがカーネル部分で動作したことにより、Windowsのパソコン画面が動かなくなり、世界で約850万台の端末が影響を受ける事態が発生した184。この不具合により、世界で3,300便以上が欠航し、欧州各国の銀行のサービスに障害が生じ、英国では放送が一時中断され、オーストラリアや日本の小売業者の支払方法が制限されるなどの被害が生じた185。これはPCの事案であるが、スマホに置き換えても同様の問題は生じ得る。近時のサイバー攻撃の激化を踏まえると、OS機能を開放することは、セキュリティに穴を開ける行為に等しく、攻撃者を呼び込む温床になりかねない。
OS機能の開放は、プライバシー・個人情報保護の観点からも問題がある。Appleの公表資料によると、DMA遵守との関係で、MetaがAirPlay、連係カメラ、メッセージ、Wi-Fiネットワークとプロパティを含む15件以上のテクノロジーに対するリクエストを行ってきたとのことであり、これを認めると、MetaがFacebook、Instagram、WhatsAppを介してユーザーのメッセージや通話の受発信を全て読んだり、利用したアプリ、写真やファイル、カレンダー、パスワードを全て記録するなど、自由にアクセスできるようになっていた可能性があると警鐘を鳴らしている186。
広告を主要な収益源とする事業者にとって、膨大な利用者情報は広告主への訴求材料となり得るため、利用者は実質的に「商品」となる。Metaのアクセス要求は同社の外部デバイスとは無関係なものも含まれていたようであり、OS機能の開放は、個人情報の悪用リスクをもたらしかねない。Meta(当時はFacebook)は、深刻なプライバシー侵害をもたらした「ケンブリッジ・アナリティカ事件」を契機に行われた調査によって、2019年7月24日、アメリカ連邦取引委員会から50億ドルの制裁金の支払いを命じられた事業者である187。
(5)用途の問題OS機能の用途がプライバシーの懸念を生じさせる場合がある。例えば、Appleの開発者規約には、コロナの接触追跡アプリを提供するためのExposure Notification APIを利用する条件として、接触追跡アプリやExposure Notification APIから得られたデータやユーザーの入力データについて、COVID-19対策以外の目的で利用又は開示することの禁止、広告IDの収集・利用や宣伝行為の禁止、位置情報ベースのAPIの利用やBluetooth機能の利用禁止、端末情報を収集して位置情報を特定する行為の禁止、他のアプリで収集したユーザーデータと接触追跡アプリから取得したユーザーデータの結合や関連付けの禁止等が記載されていた188。これらはいずれもユーザーのプライバシー保護に配慮した内容である。Appleは、パブリックコメントの中で、例えば「Exposure Notification」の枠組を通じてCovid-19の追跡のために接触者追跡機能を使用している場合、他の事業者はその枠組を出会い系アプリのために使用することを要求できるべきでないと主張しているが189、その懸念を軽視すべきではない。カメラアプリを提供するためにOS機能へのアクセスを認める行為が、位置情報の把握などの監視目的に使われることもあり得る。ウェアラブル端末等スマホの周辺機器によるOS機能へのアクセスも、位置情報の漏えいにつながりかねない。こうした問題に対応するためには、少なくとも、アプリ開発者側からの個別具体的な要請に対して、指定事業者がどこまで応じられるかを事案に即して慎重に調整していくべきであるし、OS機能の用途を法的に制限することも必要である。
アプリについても用途の面で問題が生じる場合がある190。例えば、警察庁の公表資料では、闇バイトに「X等のSNSで「高額」「即日即金」「ホワイト案件」等、「楽で、簡単、高収入」を強調する」、「シグナルやテレグラムといった匿名性の高いアプリに誘導して個人情報を送信させ、脅迫する」という特徴があり、少年が犯罪実行者募集情報に応募して犯罪行為に加担する事案も問題視されている191。また、警察庁「令和7年上半期における特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況について(暫定値)」(2025年8月4日)によると、同年上半期の特殊詐欺の認知件数は13,213件(+4,256件、+47.5%)、被害額は597.3億円(+369.4億円、+162.1%)となり、前年同期比より大幅に増加している192。
匿名性の高いアプリは、一定期間でメッセージが消去され、通信経路が全て暗号化される機能を持ち、情勢が不安定な国でジャーナリストらの表現の自由を守るために使われてきたものである193。アプリ自体に悪性があるものではなく、App StoreやGoogle Playでも配信されてきた。
指針は、「スマホを利用した犯罪行為の防止」の解釈で、「刑事罰の定めが置かれた法令について、スマートフォンを利用して、当該刑事罰の対象となる様々な行為が行われることを未然に防ぐこと」194を認めており、犯罪に悪用されるおそれのあるアプリを代替アプリストアで提供させないことはできる。上記の中では匿名性の高いアプリの提供を除外する措置は認められ得るが、写真・動画の共有アプリやSNSアプリ自体は通常のアプリであるため、指定事業者の審査の段階では確認しようがない。指針は未然防止の観点から整理されているものの、審査を通過してもアプリの用途に問題が生じる場合がある。前述の通り、事後的なアプリ削除対応の仕組みも重要である。
改めてスマホ新法の問題点を整理すると次の通りである。
第1は規制の偏りである。スマホ新法は、Appleが維持してきたクローズドなビジネスモデルへ介入する規定を設け、係る規定に課徴金を課す法律である。「競争の促進に関する法律」でありながら、実際は特定の事業者を規制する性格を持つ。
第2はフリーライドの問題である。指定事業者が収益を投資に循環させるプロセスは認められるべきところ、指定事業者と競合するサービスへの手数料を無償にすべき、又は指定事業者の設けた手数料徴収の仕組みを通らずに利用できるようにすべきという主張は、指定事業者が提供する価値へのフリーライドを要求する行為に等しい。本来、市場競争によって決まるべき価格に競争当局が介入することへの批判もある。手数料への政府介入は、広告事業を持たないAppleの事業に大きな影響を与えることが予想され、その意味でもスマホ新法は同社に不利に働きかねない。
第3は消費者被害のリスクである。スマホ新法は消費者に選択を与えることを是としつつも、消費者の限定合理性や脆弱性を考慮せず、生じ得る消費者被害には責任を取らない法律である。消費者の保護や安全に配慮した規定は存在しない。
第4はDMAに倣うことに伴う問題である。日本は歴史的に外国の法令を国内法に取り入れることで法制度を発展させており、比較法から得られる示唆は大きい。しかし、スマホ新法はDMAの効果も検証せずに立法化されており、政策として拙速であるように思われる。DMAについては、ネイティブポルノアプリの配信やサービスの一部制限など、既に弊害が生じている。また、スマホ新法はDSAに相当する法令が存在しない中で、スマホに特化する形で成立した法律である。デジタル空間の健全性は、総務省が検討を担ってきたが、表現の自由への配慮などから制度化に向けた姿勢は慎重である。今後の日本の政策において、DMAやDSAに倣った包括規制を目指すと、アメリカ政府から不必要な反発も招きかねない。
第5は、正当化事由の要件の解釈や適用範囲の問題である。正当化事由には、それに含まれる権利や法的利益の狭さに加え、適用される条項の狭さを指摘する意見がある。スマホ新法は、プライバシー・個人情報保護、消費者保護、セキュリティなどが損なわれた時に生じ得る被害の重大性や回復困難性を十分に考慮に入れた設計になっていたのか、正当化事由を再考する必要性は高いと考える。
特に懸念されるのはスマホへのサイバー攻撃のリスクである。2022年の段階から、スマホは安全保障の最前線になったこと、IT競争政策はサイバー攻撃のリスクを考慮すべきことが主張されていた。スマホ新法の定めるアプリ及びアプリストア規制、OS機能の開放は、格好のサイバー攻撃のチャンスを与えることになりかねない。
以上述べた理由等から、筆者はスマホ新法に賛成できず、同法の拡大可能性にも懸念を抱いている。同法は2025年12月18日に施行を控えているため、現時点では、慎重な運用を求め、正当化事由の解釈を厳格に行わないよう主張するより他はない。
公取委は、競争政策研究センター「データ市場に係る競争政策に関する検討会報告書」(令和3年6月25日)において、「パーソナルデータが取り扱われるデータ市場に係る議論を行う際には、『Competition(競争)』『Data Protection(データ保護)』及び『Consumer Protection (消費者保護)』の3つについて別個に議論するのではなく、三位一体での議論を行い、3つのバランスを欠かないようにすることが重要である」195と述べていた。この観点に加え、サイバーセキュリティの保護から抜本的な同法の見直しを検討すべきである。
特に懸念の大きいOS機能の開放、代替アプリストア、アプリ内課金、リンクアウトは大幅に見直し、適用範囲を限定すべきである。そして、正当化事由の範囲及び適用条項を拡大する、参入するサードパーティに安全保護などの義務を課す、OS機能を利用させる際の用途を制限する、問題のあるアプリやアプリストアを発見した場合に、指定事業者が速やかに削除できるようにする仕組みが必要であると考える。正当化事由の解釈を手段の面から限定することにも賛成できない。
公取委は、Xを用いてスマホ新法施行までのカウントダウンを表示してきた。筆者は、政府に対し、本稿で指摘した問題点を真摯に受け止め、スマホ利用者の安全を守ることを第一に、真に利用者の立場に立った政策を責任を持って実施するよう強く要望する。
(2025年11月27日脱稿)
脚注に引用したもの。
1 中央大学国際情報学部学部長・教授。
2 「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する
検討会における議論を踏まえた公正取引委員会に対する提言」(2025年7月25日(https://www.jftc.go.jp/soshiki/kyotsukoukai/kenkyukai/smlaw/teigen.pdf)。
3 公取委及び経済産業省「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第三条第一項の事業の規模を定める政令等の一部を改正する政令等について」(2025年7月29日)(https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/jul/250729_smartphone.html)。
4 スマホ新法の解説は、稲葉僚太「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律について」NBL第1273号(2024年9月1日)28頁以下、稲葉僚太ほか「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律について」公正取引第887号(2024年9月)37頁以下、滝澤紗矢子「スマホソフトウェア競争促進法の全体像」ジュリスト第1603号(2024年11月号)33頁以下、岡田羊祐ほか「座談会 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」公正取引第889号(2024年11月)4頁以下、宇賀克也「スマホ競争促進法による規制」行政法研究第58号(2024年11月)3頁以下、同「スマホ競争促進法のエンフォースメント」行政法研究第59号(2025年2月)5頁以下、白石忠志『独禁法講義』(有斐閣、第11版、2025年)222~228頁等。以下、文献を再度表記する際には執筆者名を用いるが、執筆者名とタイトルが同一の場合は「稲葉NBL」、「稲葉ほか公正取引」のように、執筆者名に加えて掲載媒体を並記する。
5 稲葉NBL29頁、滝澤34頁。
6 Regulation (EU) 2022/1925, 2022 O.J. (L 265) 1-66 (EU).
7 DMAの解説は、平山賢太郎「EUデジタル市場法(the Digital Markets Act)-規制の概要とわが国への示唆-」現代消費者法第58号(2023年3月)109頁以下、伊永大輔「EUにおけるデジタル市場法(DMA)」土田和博編著『デジタル・エコシステムをめぐる法的視座-独占禁止法・競争政策を中心に』(日本評論社、2024年)266頁以下、武藤まい「デジタル市場法(DMA)の概要と最新動向」公正取引第889号(2024年11月)37頁以下等。
8 白石228頁、滝澤34頁。
9 滝川敏明「アイフォンの開放義務付けとユーザーの安全リスク~スマホソフトウエア競争促進法の問題点~」国際商事法務第52巻第7号(2024年)764頁以下。デジタル市場競争会議の検討段階のものとして、渥美雅之「モバイル・エコシステムにおける競争政策-サイドローディングをめぐる諸問題」NBL第1232号(2022年12月15日)90頁以下、同「『モバイル・エコシステムに関する競争評価 最終報告』に関する考察」NBL 第1248号(2023年8月15日号)75頁以下。以下、執筆者と掲載媒体が同じ場合は、執筆者に加えてタイトルを並記する。
10 DMAに関する欧州議会の説明文書(https://www.europarl.europa.eu/RegData/etudes/BRIE/2021/690589/EPRS_BRI(2021)690589_EN.pdf)等
11 稲葉ほか公正取引37頁。
12 稲葉NBL30頁等。
13 滝澤34頁注6)。
14 白石228頁。
15 公取委のウェブサイト(https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/mar/250331_smartphone.html)。
16 稲葉ほか公正取引38頁。スマホ新法第3条1項の定める事業規模は、政令第1条に基づき、月1回以上利用するスマホ利用者数を平均した数が4000万人と定められている。
17 滝澤35頁。
18 スマホ新法の文言上、「同等の性能で他の事業者が個別ソフトウェアの提供に利用することを妨げること」と定められているが(第7条2号)、本稿では、伝わりやすさの観点からOS機能の「開放」という表現を用いることがある。
19 武藤37頁は義務内容と規制枠組が「酷似する」と表現している。
20 EUのウェブサイト(https://digital-markets-act.ec.europa.eu/gatekeepers_en)。
21 伊永272頁、平山111頁。
22 武藤39頁。
23 ビジネスユーザーへの顧客誘導妨害の禁止
24 DMAは無償を義務付ける規定を複数設けているが、スマホ新法に無償を義務付ける規定はない。
25 エンドユーザーへの顧客誘導妨害の禁止。
26 第8条4号は自社のソーシャルログインの利用強制の禁止。
27 OSの指定事業者によるアプリストアの抱き合わせ禁止。
28 DMAでは利用が禁止される非公開データの類型に限定がない等の差異がある。稲葉ほか39頁注1)。
29 OS又はデバイスの機能に不可欠であり、他社が単独で提供することが技術的に不可能なものを除く。
30 GKは、適切に正当化されることを条件として、ハードウェア又はOSの完全性への脅威を防止するため、また、サードパーティのアプリ又はアプリストアに関するセキュリティを効果的に保護するために、厳密に必要かつ比例的な範囲内で措置を講じることが認められる。
31 DMAがOS等の完全性やセキュリティのための措置を講じることを認める一方で、スマホ新法はサイバーセキュリティ、青少年保護、スマホの利用者情報保護、スマホの異常な動作の防止、スマホを利用した犯罪行為の防止に関する正当化事由を定めている点で異なる。稲葉ほか公正取引39頁注3)参照。
32 検索エンジンの自己優遇禁止。
33 GKは、適切に正当化されることを条件として、その提供するOS、仮想アシスタント、ハードウェア及びソフトウェアの一体性が、相互運用性によって損なわれることを防止するために厳密に必要かつ比例的な措置を講じることは妨げられない。
34 FRAND条件(fair, reasonable, and non-discriminatory)といわれる。
35 DMAはOSを対象にしていない。
36 第7条は、電話番号に依存しない個人間コミュニケーションサービスを提供するGKに対する、基本機能の相互運用性等の義務を定めている。メッセージングサービスが該当する。
37 Appleのウェブサイト(https://www.apple.com/jp/privacy/)、(https://www.apple.com/jp/privacy/control/)参照。
38 日本経済新聞「世界企業のブランド価値、Appleが12年連続首位」(2024年10月10日)。
39 本文は(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/digitalmarket/kyosokaigi/dai7/siryou2s.pdf)参照。
40 渥美「『モバイル・エコシステムに関する競争評価 最終報告』に関する考察」77~78頁。
41 滝川766頁。
42 同上。
43 同上。長尾里穂「アプリストア「選べる幸せ」巨大IT新法案を読み解く-読み解き巨大IT新法(上)」日本経済新聞(2024年4月30日)。
44 石川温「雲行きが怪しい「スマホ新法」、恩恵を受けるのは“アメリカ企業”か」ケータイWatch(2025年6月24日)(https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/ishikawa/2024481.html)。
45 金子麟太郎「スマホ新法は「ユーザーが混乱しないか懸念」とKDDI松田社長 同社独自アプリストアは「計画ない」との考え」ITmedia Mobile(2025年8月1日)(https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2508/01/news101.html)。
46 Epic Gamesのウェブサイト(https://store.epicgames.com/ja/mobile)。
47 「iPhone向け代替アプリストア「AltStore PAL」が日本・オーストラリア・ブラジルで2025年後半にサービス開始予定」livedoor News(2025年10月8日)(https://news.livedoor.com/article/detail/29736312/)。
48 オンラインゲームのアプリ外決済サービスには国内事業者も名乗りを上げている(https://www.sonypaymentservices.jp/news/2024/20241219.html)。関連記事として、(https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/01216/00114/)参照。
49 Appleの公表資料(https://www.apple.com/jp/newsroom/2025/05/the-app-store-prevented-more-than-9-billion-usd-in-fraudulent-transactions/)より。
50 (注)では、「技術の利用に係る制限行為には、ある技術に権利を有する者が、①他の者に当該技術を利用させないようにする行為、②他の者に当該技術を利用できる範囲を限定して許諾する行為及び③他の者に当該技術の利用を許諾する際に相手方が行う活動に制限を課す行為がある。」と記されている(指針56~59行)。
51 指針48~54行。
52 白石69~72頁。
53 公正取引委員会事務総局「「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第三条第一項の事業の規模を定める政令等の一部を改正する政令(案)」等に対する意見の概要及びこれに対する考え方」(2025年7月29日)(以下「意見の概要」という。)(https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/jul/250729_02_smartphone_publiccomment.pdf)のうち、112~117番参照。
54 同上110番。
55 競争評価最終報告61~64頁。
56 小倉健一「「アップル税30%」に騒ぐ人が知らない世界の常識…アプリストア強制開放で違法コピー地獄の懸念」ダイヤモンドオンライン(2023年6月24日)(https://diamond.jp/articles/-/325030)。
57 臼田勤哉「施行近づく「スマホ新法」 競争促進の実際や消費者保護への指摘も」Impress Watch(2025年6月5日)(https://www.watch.impress.co.jp/docs/topic/2019566.html)。
58 第32回デジタル市場競争会議ワーキンググループ会合(2022年1月28日)議事録(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/digitalmarket/kyosokaigi_wg/dai32/gijiroku.pdf)27頁(増島雅和議員の発言)。
59 競争評価最終報告69~77頁。
60 同上78頁。
61 渥美「『モバイル・エコシステムに関する競争評価 最終報告』に関する考察」78~79頁。
62 経済産業省「デジタルプラットフォーム利用事業者向けアンケート調査結果」(2022年3月14日)(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_platform_monitoring/pdf/002_01_00.pdf)13頁。渥美・同上79頁注3)。
63 稲葉ほか公正取引40頁注6)、41頁注10)。
64 指針1248~1249行。
65 臼田・前掲「施行近づく「スマホ新法」 競争促進の実際や消費者保護への指摘も」。
66 渥美「『モバイル・エコシステムに関する競争評価 最終報告』に関する考察」79頁。
67 臼田・前掲「施行近づく「スマホ新法」 競争促進の実際や消費者保護への指摘も」(安田洋祐氏指摘部分)。
68 Nikkei Digital Governance「アプリ事業者、手数料30%は「収益圧迫」 決済参入のゲームエイト:ゲームエイト社長 沢村俊介氏に聞く」(2025年7月30日)。
69 石垣浩晶「国産ゲームアプリ不調、スマホ新法「デジタル豊作」導くか」Nikkei Digital Governance(2025年4月24日)。
70 「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会 報告書」(2025年7月)(https://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2025/doc/202507_para_houkoku1.pdf)。
71 競争法の立場から消費者の脆弱性等に関する精緻な分析を行った先行研究に、岩本諭『競争法における「脆弱な消費者」の法理-顧客誘引に対する規制と規律の複線化の考察』(成文堂、2019年)がある。
72 専門調査会報告書9~10頁。
73 ダニエル・カーネマン著・村井章子訳『ファスト&スロー(上)―あなたの意思はどのように決まるか?―』(ハヤカワ文庫、2014年)。
74 専門調査会報告書9~10頁。
75 同16~17頁。
76 同上。
77 同上13頁。
78 本田雅一「欧州DMAより厳しいスマホ新法が「ガラパゴスiPhone」誕生を促す可能性。機能が制限され、ユーザー体験の低下を招く恐れも」東洋経済ONLINE(2025年5月1日)(https://toyokeizai.net/articles/-/874158?page=5)。
79 「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る 競争の促進に関する検討会(第11回)議事録」(2025年7月11日)のうち、増田悦子委員の発言(https://www.jftc.go.jp/file/250711_gijiroku_11.pdf)。
80 滝川766頁。
81 全国消費者団体連絡会「スマホソフトウェア競争促進法に関する指針(案)」に対する意見」(2025年6月13日)(https://www.shodanren.gr.jp/database/519.htm)。
82 日経ビジネス「そのサブスク本当に使う?ユーザーの「解約忘れ」で売り上げ200%増も」(2023年12月14日)(https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00351/121100116/)。
83 2025年5月14日、Google、Meta、Qualcomm、Garminの日本法人が「オープンデジタルビジネスコンソーシアム」を設立した。目的はApple製品と他社製品との相互運用性の確保であるが、同年11月26日現在、日本企業は参加していない。利用者の利便性向上を謳いつつ、相互運用性によって実際に得をするのは外資系事業者である。関連文献として、石垣浩晶「Apple経済圏、「開放」迫る企業連合 乗れぬ日本勢の葛藤」Nikkei Digital Governance(2025年8月26日)。
84 臼田「施行近づく「スマホ新法」 競争促進の実際や消費者保護への指摘も」参照。
85 全国消団連・前掲「スマホソフトウェア競争促進法に関する指針(案)」に対する意見」。
86 臼田「施行近づく「スマホ新法」 競争促進の実際や消費者保護への指摘も」(板倉陽一郎氏の発言部分)。
87 指針35~37行。
88 指針387~391行。
89 (注2)は、SPSI(筆者注:総務省の「スマートフォン プライバシー セキュリティ イニシアティブ」を指す。)において、ダークパターンは、「サービスの利用者を欺いたり操作したりするような方法又は利用者が情報を得た上で自由に決定を行う能力を実質的に歪めたり損なったりする方法で、ユーザインタフェースを設計・構成・運営すること。」と定義されている(指針377~380行)。
90 指針343~350行。
91 指針458~464行。
92 「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する検討会」第8回事務局資料(https://www.jftc.go.jp/file/8-1_smartphone_jimukyokushiryou.pdf)6頁。
93 意見の概要127~130番。
94 同上73番。
95 総務省「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 とりまとめ」(2024年9月)(https://www.soumu.go.jp/main_content/000966997.pdf)79頁。
96 第6条に関しては、競争法の観点から、「不当差別」や「不公正取引」は独禁法で既に規制されており、違法行為の範囲を曖昧な基準で拡大することは、私企業の取引への政府による不当介入であるとする指摘もある。滝川766頁。
97 SPSIにおける望ましい取組が、「法第6条の観点から通常問題がないような個別ソフトウェアに係る審査項目の例として参考になる」と紹介されている。(指針365~376行)。
98 指針339~342行。
99 指針402~408行。
100 欧州委員会の報道発表(https://digital-markets-act.ec.europa.eu/designated-gatekeepers-must-now-comply-all-obligations-under-digital-markets-act-2024-03-07_en)等参照。
101 武藤44頁ほか。
102 臼田勤哉「Apple、欧州での巨額制裁に反訴「法律の要件を大きく逸脱」」Impress Watch(2025年7月8日)(https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2029182.html)。
103 公取委報道発表資料(https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/Jul/250723.html)。
104 ロイター「アップル、欧州でAI新機能の提供延期 デジタル市場法受け」(2024年6月22日)(https://jp.reuters.com/economy/industry/KTUJVCRSWNMBJLH2DA3HA3ALAI-2024-06-21/)。
105 弁護士ドットコムニュース「「スマホ新法」でiPhoneの便利機能が使えなくなる? 12月施行で私たちの生活はどう変わる」(2025年8月18日)
(https://www.bengo4.com/c_23/n_19219/)参照。
106 KSM News&Research「欧州委、ライブ翻訳機能を巡るアップルの要求を却下」(2025年9月23日)(https://ksm.fr/archives/684341)。
107 日本経済新聞「Apple、iPhone初のポルノアプリに懸念表明 EUで配信」(2025年2月5日)。
108 NHK NEWS WEB 「SNS 子どもの性被害 プラットフォーム企業の責任は?」(2024年6月20日)(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240620/k10014485451000.html)。
109 岡田ほか24頁(土田和博氏発言部分)。
110 Regulation (EU) 2016/679, 2016 O.J. (L 119) 1-88 (EU).
111 Regulation (EU) 2022/2065, 2022 O.J. (L 277) 1-102 (EU).
112 European Commission, A Europe fit for the digital age, https://commission.europa.eu/strategy-and-policy/priorities-2019-2024/europe-fit-digital-age_en.
113 European Commission, Commission work programme 2025, https://commission.europa.eu/strategy-and-policy/strategy-documents/commission-work-programme/commission-work-programme-2025_en.
114 European Commission, Digital Omnibus Regulation Proposal (Nov. 19, 2025), https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/library/digital-omnibus-regulation-proposal.
115 Laura Linkomies, Are Data Protection Fines Effective?, 196 Privacy Laws & Business (Aug. 2025), at 2.
116 European Commission, The Digital Services Act package, https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/digital-services-act-package.
117 プライバシー権の根拠と解されている。
118 生貝直人「EUデジタルサービス法とプラットフォームのガバナンス」法とコンピュータ第41巻27頁以下(2023年7月)。
119 公取委・前掲「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する 検討会における議論を踏まえた公正取引委員会に対する提言」。
120 中間取りまとめは(https://www.soumu.go.jp/main_content/001030920.pdf)参照。
121 White House, Fact Sheet: President Donald J. Trump Issues Directive to Prevent the Unfair Exploitation of American Innovation (Feb. 21, 2025), https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2025/02/fact-sheet-president-donald-j-trump-issues-directive-to-prevent-the-unfair-exploitation-of-american-innovation/.
122 CNBC, U.S. Commerce Secretary Howard Lutnick Speaks with CNBC’s “Squawk on the Street” Today (Jul 24 2025), https://www.cnbc.com/2025/07/24/cnbc-transcript-us-commerce-secretary-howard-lutnick-speaks-with-cnbcs-squawk-on-the-street-today.html.
123 Humeyra Pamuk「米政権、EUデジタルサービス法巡るロビー活動指示 在欧外交官に」ロイター(2025年8月7日)
(https://jp.reuters.com/world/us/3QHATY2T2BLXNAQLAMQIXF4ACQ-2025-08-07/)。
124 個人情報保護委員会のプレスリリース(https://www.ppc.go.jp/enforcement/cooperation/250918_EU_McGrath/)より。
125 公表文書は(https://www.meti.go.jp/press/2022/04/20220421001/20220421001.html)参照。
126 エンドユーザーが同意を拒否又は撤回した場合、GKは1年の期間内に同じ目的のための同意を再度求めてはならない。
127 GDPR第6条1項は、管理者による個人データの適法な取扱根拠として、管理者が服する法的義務の遵守((c)号)、データ主体又は他の自然人の重要な利益保護((d)号)、公益、管理者に付与された公的権限の行使((e)号)をそれぞれ規定している。
128 前文(72)項はデータ保護及びプライバシーの利益に言及している。
129 Directive 2005/29, 2005 O.J. (L 149) 22-39 (EC).
130 GDPR第9条1項は、人種又は民族的出自、政治的思想、宗教又は信念、労働組合への加入を明らかにする個人データの取扱い、及び、遺伝データ、自然人を一意に識別することを目的とする生体データ、健康関連データ又は自然人の性生活若しくは性的嗜好に関するデータの取扱いを原則として禁止している。
131 「正当化理由」という表現も使われているが、本稿では、指針の記載に従い、原則として「正当化事由」と表記する。
132 「この法律において「サイバーセキュリティ」とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式(以下この条において「電磁的方式」という。)により記録され、又は発信され、伝送され、若しくは受信される情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の当該情報の安全管理のために必要な措置並びに情報システム及び情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保のために必要な措置(情報通信ネットワーク又は電磁的方式で作られた記録に係る記録媒体(以下「電磁的記録媒体」という。)を通じた電子計算機に対する不正な活動による被害の防止のために必要な措置を含む。)が講じられ、その状態が適切に維持管理されていることをいう。」
133 「賭博」は昨今問題となっているオンラインカジノを想起させるが、犯罪行為の例示として定められている。
134 SPSI本文は(https://www.soumu.go.jp/main_content/001030684.pdf)参照。
135 指針814~855行。
136 指針857~890行。
137 指針892~911行。
138 指針913~930行。
139 指針932~958行。
140 臼田・前掲「施行近づく「スマホ新法」(板倉陽一郎氏の発言部分)。
141 第213回国会参議院経済産業委員会第15号(2024年6月6日)石橋通宏議員発言。
142 全国消団連・前掲「スマホソフトウェア競争促進法に関する指針(案)」に対する意見」。
143 指針960~1002行。
144 指針1009~1071行。
145 指針851~855行。
146 指針965~969行。
147 白石68~77頁。
148 滝澤37頁。
149 意見の概要8番。
150 白石75頁。
151 同上。
152 個人情報の保護に関する基本方針(2004年4月2日閣議決定・2022年4月1日最終変更)(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/fundamental_policy/)。
153 公取委は、「競争制限的でない他の代替手段の有無」は、指定事業者にとっての経済的合理性のみで判断するものではないとの考えを示している(意見の概要282番)。
154 渥美「モバイルエコシステムにおける競争政策」92頁。
155 白石67頁参照。
156 滝澤36頁。
157 意見の概要103番。
158 マイデータジャパンの提出意見は(https://mydatajapan.org/documents/public_comments/pbc20250613/)参照。
159 白石228頁。
160 青少年保護など他の正当化事由についても論じるべき点はあるが、本稿では最も懸念されるセキュリティに焦点を当てることとした。
161 総務省「スマートフォン プライバシー」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/smartphone_privacy.html)。
162 山岡裕明「狙われたスペイン首相 サイバー攻撃、スマホが主戦場に」Nikkei Digital Governance(2025年8月1日)ほか。
163 IPA「情報セキュリティ10大脅威2025-個人編」(https://www.ipa.go.jp/security/10threats/eid2eo0000005231-att/kaisetsu_2025_kojin.pdf)。
164 白石武志「イスラエル製監視ソフト、記者のスマホに悪用 海外報道」日本経済新聞(2021年7月19日)。
165 ローラン・リシャール、サンドリーヌ・リゴー著、江口泰子訳『世界最凶のスパイウェア・ペガサス』(早川書房、2025年、Kindle版)10頁以下。
166 NNA Europe「スペイン首相と国防相、ハッキング被害に」(2022年5月4日)(https://europe.nna.jp/news/show/2331276)。
167 北村滋「スマートフォンは安全保障の最前線になった:IT競争政策はサイバー攻撃のリスクを考慮せよ」東洋経済オンライン(2022年11月26日)(https://toyokeizai.net/articles/-/634785)。
168 「米、イスラエル企業に禁輸 スパイウエア販売で」日本経済新聞(2021年11月4日)。
169 Prohibition on Use by the United States Government of Commercial Spyware That Poses Risks to National Security, 88 Fed. Reg.18957 (Mar. 30, 2023).
170 内閣官房の説明資料(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/cyber_anzen_hosyo_torikumi/index.html)参照。
171 Trend Micro Research 「「Android端末を狙うマルウェア「CherryBlos」と「FakeTrade」による詐欺キャンペーン」」(2023年9月26日)(https://www.trendmicro.com/ja_jp/research/23/i/cherryblos-and-faketrade-android-malware-involved-in-scam-campai.html)。
172 後藤大地「890万台のAndroidデバイスにマルウェアがプリインストール、注意を」マイナビニュースTECH+(2023年5月20日)(https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230520-2683109/)。Lemon Groupというサイバー犯罪組織が仕掛けたと伝えられている。
173 National Cyber Security Center, et.al., Infamous Chisel, Malware Analysis Report (Aug. 31, 2023), https://media.defense.gov/2023/Aug/31/2003292099/-1/-1/0/INFAMOUS_CHISEL_20230831.PDF
174 Security Next「Android狙うマルウェア「Infamous Chisel」 - 海外当局がロシア関与と分析」(2023年9月4日)(https://www.security-next.com/149142)。
175 中央日報日本語版「アプリDLすると個人情報すべて抜き出し」月間7億人が使う中国ショッピングアプリに米国騒然」(2023年4月4日)(https://japanese.joins.com/JArticle/302819?sectcode=A00&servcode=A00)。山下福太郎「中国通販サイト「ピンドゥオドゥオ」、利用者スマホから通話履歴・写真など不正取得か」(2023年4月5日)(https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230405-OYT1T50203/)。
176 Adrian Humphreys, Hackers target Canadians with fake COVID-19 contact-tracing app disguised as official government software, National Post (Jun. 24, 2020), https://nationalpost.com/news/canada/hackers-target-canadians-with-fake-covid-19-contact-tracing-app-disguised-as-official-government-software.
177 IPA「情報セキュリティ10大脅威2025」(https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2025.html)。
178 株式会社KADOKAWA「ランサムウェア攻撃による情報漏洩に関するお知らせ」(2024年8月5日掲載開始)(https://www.kadokawa.co.jp/topics/12088/)。
179 意見の概要59番、87番。
180 北村・前掲「スマートフォンは安全保障の最前線になった」。
181 Appleのウェブサイト(https://www.apple.com/jp/newsroom/2025/06/apple-introduces-my-number-card-on-iphone/)より。
182 指針1163~1167行。
183 指針1201~1430行。
184 日本経済新聞「Microsoft、システム障害再発防止へ会合 9月10日に」(2024年8月24日)、Wired「大規模なWindows障害の発端となった「欠陥」は、こうして世界中のシステムをクラッシュさせた」(2024年7月20日)(https://wired.jp/article/crowdstrike-outage-update-windows/)。
185 日本経済新聞「世界でシステム障害、空港や銀行など幅広く ソフト起因
システム障害」(2024年7月19日公表、同月20日更新)。
186 Apple「高まるプライバシー侵害のリスク」(2024年12月)(https://www.soumu.go.jp/main_content/000993005.pdf)。
187 Federal Trade Commission, Press Release, FTC Imposes $5 Billion Penalty and Sweeping New Privacy Restrictions on Facebook (Jul. 24, 2019), https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2019/07/ftc-imposes-5-billion-penalty-sweeping-new-privacy-restrictions-facebook. 中溝丘「米FTCと米司法省、フェイスブックに50億ドルの制裁金での和解を発表」JETROビジネス短信(2019年7月26日)(https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/07/84ec0537a8038ebb.html)ほか。
188 規約本文は(https://developer.apple.com/contact/request/download/Exposure_Notification_Addendum.pdf)参照。
189 意見の概要205番。
190 前掲のアルバムコレクションもアプリの用途で問題となった事例である。
191 警察庁生活安全企画課「犯罪実行者募集情報の特徴」(2024年10月25日)(https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/yamibaito/tokutyou.pdf)、警察庁「犯罪実行者募集の実態~少年を「使い捨て」にする「闇バイト」の現実~」(2023年7月)(https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/yamibaito/yamibaitojirei.pdf)。
192 本文は(https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/250804/01.html)参照。
193 上毛新聞「闇バイトの入り口? 「テレグラム」「シグナル」を記者が体験すると…」(2025年1月8日)(https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/590223)。
194 指針933~935行。
195 報告書の本文のうち、(https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2021/jun/210625_report.pdf)21~22頁より。