日本エネルギー学会誌
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論文
Concept of Carbon-related Energy to Connect Energy Consumption with CO2 Emissions
Hiromi YAMAMOTO YAMAJI Kenji
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2021 年 100 巻 6 号 p. 62-72

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抄録

気候変動の緩和のために,エネルギー起源の二酸化炭素(CO2)排出量の削減が求められている。しかしながら,エネルギー消費者がCO2排出量を簡明に認識することは困難であり,それがCO2排出量の削減を妨げる要因の一つとなっている。本研究の目的は,CO2排出量の直感的な認識を補助する新指標を開発し,その新指標の応用を示すことである。本研究の主要成果を以下に示す。(1)著者らは炭化水素燃料のCO2排出量と非常に強い相関を示す新しい概念としてCE(carbon-related energy,カーボンエネルギー)を導入する。CEは,燃料中の炭素および水素の組成と発熱量から計算される炭素分の比率と燃料発熱量の積で定義される,エネルギー量である。CEに関連する概念として,HE(hydrogen-related energy),RE(renewable energy),CEレシオなどが定義できる。(2)CEを燃料発熱量により除することで定義されるCEレシオは,CO2排出原単位と強い相関を持つ。CEレシオは0.0から1.0の間の規格化された指標であるため,CO2排出原単位よりも直感的に理解しやすい。(3)著者らはCE関連概念を用いた改良茅の恒等式を定義し,CO2排出量がCE関連概念とGDPにより説明されることを示した。また,エネルギーとCO2排出量は,従来別々の図表で示されていたが, CE関連概念を用いることで同一の図表で表示可能となる。

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© 2021 The Japan Institute of Energy
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