日本エネルギー学会誌
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論文
湿式押出法によるコーヒー抽出残渣成形品の開発
松岡 拓磨野中 寛
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2021 年 100 巻 6 号 p. 55-61

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抄録

コーヒー抽出残渣(コーヒー粕)は,未利用バイオマス資源であり,食品廃棄物として大量に廃棄されている。本研究では,天然の成形助剤を用いた湿式押出成形により,オールバイオマスのコーヒー粕成形品を開発することを目的とした。コーヒー粕とヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を8:2~5:5で混合し,固体重量の70~200%の水を加えて混練したところ,コーヒー粕は流動性を発現した。流動特性には水分量が大きく影響し,固形重量の100%の水の添加で板状,中空状に押出成形することに成功した。HPMC の使用割合が多い方が,押出抵抗性が大きく,成形品の収縮率とヤング率が小さくなる傾向が認められた。これは木粉を成形するときとは異なる傾向であり,コーヒー粕はセルロース含量が低く,油分やタンパク質が多量に含まれることから,成分の違いが特性に影響を与えたものと推測された。生分解性の乏しい熱可塑性樹脂不使用でコーヒー粕を三次元成形できることは画期的であり,食品廃棄物問題と近年深刻化しているプラスチックごみ問題の双方を解決しうるものと期待される。

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© 2021 一般社団法人 日本エネルギー学会
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