日本エネルギー学会誌
Online ISSN : 1882-6121
Print ISSN : 0916-8753
ISSN-L : 0916-8753
論文
高圧気流層ガス化炉条件での高揮発分炭からの揮発分の生成特性評価への13C-NMR石炭構造分析適用
横濱 克彦渡邊 裕章
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 100 巻 9 号 p. 177-185

詳細
抄録

石炭の化学構造に基づく,揮発分の発生挙動把握は,石炭ガス化炉内部の反応挙動を明らかにするために重要である。しかしながら,石炭の13C-NMRデータの評価方法と,Chemical Percolation Devolatilization (CPD)理論に基づく石炭の構造パラメータの関係に着目し,高圧流通管式反応実験装置(高圧DTF)で取得した揮発分の発生挙動と比較した報告は少ない。本研究では,燃料比0.94と1.64の石炭について13C-NMR分析を行い,高圧DTFで取得した温度800~1200℃,滞留時間0.4~0.8 sの揮発分の発生挙動データを基に,石炭の化学構造に対する考察を行った。その結果,橋頭炭素の化学シフトピークをそれぞれ133 ppm,131 ppmに設定することで,CPD理論に基づく計算結果と,高圧DTF実験で取得した揮発分放出量の相関が取れた。炭種による化学シフトピークの違いは,芳香核クラスタを構成する炭素環数の差に起因すると考えられ,化学構造の違いに応じて13C-NMRデータ分析のパラメータも調整する必要があることが分かった。

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本エネルギー学会
前の記事
feedback
Top