2024 年 103 巻 12 号 p. 95-104
石炭4種,バイオマス3種を対象にワイヤーバスケット試験を実施し,粉砕機内雰囲気下における石炭/バイオマス堆積物の発熱特性を評価した。その結果,10 cm角の容器を用いる場合には,堆積物の発熱性は初期昇温速度と熱容量の積により算出される初期発熱速度を用いることで評価することができ,雰囲気温度80℃におけるバイオマス堆積物の初期発熱速度は石炭堆積物よりも低い傾向であることが示された。また,雰囲気温度がバイオマス堆積物の初期発熱速度に及ぼす影響は石炭と比べて小さいことも明らかになった。このことから,粉砕機内におけるバイオマス堆積物の発火の危険性は石炭と比べて低いと考えられる。 さらに,初期発熱速度が大きい石炭へ初期発熱速度が小さい木質バイオマスを混合したところ,石炭へのバイオマス混合率の増加に伴い,混合物の初期発熱速度は低下した。石炭/バイオマス混合物のかさ密度が,単味試料のかさ密度から体積で重み付けした平均により表される場合においては,混合物における初期発熱速度は,単味試料の初期発熱速度から体積で重み付けした平均を取ることにより推算できることが示された。