日本エネルギー学会誌
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論文
地域の雇用変化に着目したバイオマス事業のソーシャルライフサイクル評価
兵法 彩本藤 祐樹森泉 由恵
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2015 年 94 巻 2 号 p. 159-169

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抄録

本研究の目的は,バイオマス事業の導入に伴う雇用量の変化をライフサイクル思考に基づき評価する手法を提案することである。提案手法は,日本国内を事業スポット(事業が実際に行われている場所),近隣地域,遠隔地域の三つに区分して雇用量の変化を地域別に推計し,事業実施によってどこでどのような雇用量の増減が生じるのかを明らかにする。事業実施に伴う直接・間接的な雇用量の推計には,積み上げ法と産業連関法を組み合わせたハイブリッド法を用いている。提案する手法を北海道の小規模なバイオガス事業に適用した結果,事業スポット内の直接的な増加よりも,事業スポット外で生じる間接的な増加の方が大きかった。また,遠隔地域(北海道外)における設備の保守・修繕や燃料製造に伴う雇用量の増加を,近隣地域の企業や広域連携の活用によって事業スポットにより近い地域(北海道内)で雇用を生みだせる可能性を明らかにした。本研究で提案する手法を用いることで,バイオマス事業の雇用効果の的確な把握や,地域や社会に適した事業の設計・改善が可能となる。

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© 2015 一般社団法人 日本エネルギー学会
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