日本エネルギー学会誌
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論文
再生可能エネルギー固定価格買取制度を利用した木質バイオマス発電事業における原料調達価格と損益分岐点の関係
柳田 高志吉田 貴紘久保山 裕史陣川 雅樹
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2015 年 94 巻 3 号 p. 311-320

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抄録

2012 年7月に再生可能エネルギー固定価格買取制度が施行され,各地に木質バイオマス発電所の計画が相次いでおり,今後,燃料となる間伐材や林地残材の利用促進が期待されている。しかしながら,間伐材や林地残材の搬出は地域差や条件により費用が大きく異なるため,発電所の原料受入価格の目安を基に供給費用の目標値を設定し,搬出の可否を判断するのが望ましい。そこで,本研究では,森林における間伐材や林地残材等の未利用木質バイオマスの供給コストの目標値設定に資する情報を提供することを目的とする。まず,500 kW ~20,000 kW 規模のバイオマス発電を対象に,内閣官房国家戦略室コスト等検証委員会の発電コスト試算シートをベースにしたモデルを作成し,バイオマス発電に関するデータを組み込み,発電コスト等の試算検討を行った。その上で,発電規模,原料含水率を変数としたときの発電事業の損益分岐点上にある原料コストを整理した。森林の未利用バイオマスの供給コストに関する限界の指標の一つを提示できたと考える。

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© 2015 一般社団法人 日本エネルギー学会
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