2018 年 39 巻 3 号 p. 223-228
咳,嗄声,喘鳴といった上下気道の症状は,われわれ耳鼻咽喉科医が小児の患者を診察する際にしばしば経験する症状である。そのほとんどが鼻咽喉頭領域の感染症に関連した症状であるが,年齢により疾患も大きく変化するため患児の年齢にも注意が必要である。さらに身長や体重が大きくなる発育や知能や運動能力など機能が成長する発達を考慮しながら診断・治療にあたる必要がある。
小児喉頭において,声門上の組織が脆弱なため吸気時に引き込まれやすいといった特徴があるため,吸気性の喘鳴の原因として喉頭軟弱症(喉頭軟化症)がもっとも多い。喉頭軟弱症のほとんどは2歳までに軽快するが,チアノーゼを伴うような呼吸障害や発育障害など重度の合併症があれば,Supraglottoplasty(声門上形成術)など外科的治療が必要となってくるため,そのタイミングの見極めが重要となってくる。