日本エネルギー学会誌
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特集:バイオマス(資料)
野積み貯蔵がエリアンサスの炭水化物および高位発熱量の回収率に及ぼす影響
服部 育男加藤 直樹上床 修弘我有 満清村 康
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2016 年 95 巻 10 号 p. 915-921

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抄録

水分を多く含む草本類のエネルギー利用においては,原料貯蔵技術の確立が必要である。そこで,本試験では低コスト貯蔵を目的としたエリアンサスの野積み貯蔵試験を実施した。設定切断長15 mmで細断した含水率492 g/kgのエリアンサスをベルトコンベアーを用いて野積みしたところ,半径5 m高さ5 mの正円錐状に積み上がったが,貯蔵開始時から頂部は沈下し,翌日には高さ3.5 mとなった。このときの密度は原物で259 kg/m3,乾物で132 kg/m3であった。貯蔵中の温度変化は表層部では最低気温より約10℃高い値で推移した。中心部および底面部は約20℃高い値で推移したが,温度変化は外気温の影響を受けなかった。貯蔵後のpHは中心部では5 以下となったが,他の位置は7前後の中性域であった。有機酸はpHが低下した中心部で多く認められた。貯蔵後の総炭水化物および高位発熱量の成分,回収率は中心部が高く,表面になるほど成分,回収率ともに低下した。上記条件下での回収率は総炭水化物では約70%,高位発熱量では約75%の回収率であった。

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© 2016 一般社団法人 日本エネルギー学会
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