抄録
本研究は杉微粉末からの同時糖化発酵によるバイオエタノール製造に関するものである。振動型粉砕機ダンデムリングミルにより粉砕した杉微粉末は,酵素糖化において効率的に糖に変換できる。杉微粉末と高温発酵性酵母Schizosaccharomyces japonicus SS4-5 を用いた40℃での同時糖化発酵ではエタノールの生成が阻害された。そこで,高温条件下で効率的にエタノール生成が行えるように改良するためにSS4-5株の細胞をUV処理に供与した。変異処理の結果,高温条件下で安定してエタノール生成が可能な変異株SS4-5SP株を取得した。SS4-5SP株を用いた40℃での同時糖化発酵ではエタノール生成とエタノール収率は51.11 g/Lと81.81%であった。SS4-5SP株を用いた同時糖化発酵により高効率のエタノール生成が実現できる。