日本エネルギー学会誌
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特集:エネルギーシステム(論文)
メッシュデータを用いた太陽光発電の導入可能量の分析
島崎 洋一
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2017 年 96 巻 10 号 p. 463-469

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抄録

本研究は,山梨県の農業地域における太陽光発電の導入可能量を分析した。農業地域の最重要課題のひとつとして,耕作放棄地の有効利用がある。例えば,ソーラーシェアリングシステムは,営農を継続しながら再生可能エネルギーを生産することが可能である。筆者は,地理情報システムを用いて,耕作放棄地における太陽光発電の導入可能性を評価する方法を提案した。山梨県の農業集落は農林業センサスに基づき,不定形の1,687地域に分割された。本研究では,定形のメッシュデータを適用し,山梨県をより詳細な4,500地域に分割した。最大傾斜角度が20度未満かつ最大傾斜方向が南向きの条件を満たす地域を重ね合わせの分析により抽出した。さらに,太陽光発電の導入潜在量は自然公園地域と自然保全地域を除いたメッシュとした。年積算日射量を用いることにより山梨県の年間発電潜在量998 GWhを算出した。送電線から耕作放棄地までの距離に関する感度分析により215 のメッシュデータを太陽光発電の導入可能量として抽出した。その結果,年間発電可能量394 GWhを算出した。これは2014年度の山梨県における電力消費量の6.4%に相当することがわかった。

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© 2017 一般社団法人 日本エネルギー学会
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