2017 年 96 巻 10 号 p. 470-477
豪州の褐炭利用を例にCO2を含む褐炭ガス化ガス,および風力発電による水の電気分解で発生する水素を利用して,クリーンで,輸送が容易な燃料であるDMEの製造プロセスの概念設計を実施した。褐炭からDMEを製造する段階で発生するCO2をCCSで処理する基本ケースに対し,風力発電による水素を導入し,CO2と共にDME製造原料とすることにより,発電に利用できるDME製造量が増加し,CCS処理量が減少することが明らかになった。このことは,CCSが技術的,社会的に制約される場合の石炭資源の利用に関して,一つの有効な対策と考えられる。DMEを豪州からわが国に輸送し,発電に利用する際に発生するCO2はLNG利用の発電とほぼ同様であり,従来の石炭火力に比較して大幅なCO2の削減を図ることが可能であると考えらえる。