2017 年 96 巻 7 号 p. 228-238
気泡流動層吸収器と高速流動層再生器で構成された2塔流動層式粒子循環システムをCO2捕集用カルシウムルーピング(CaL)プロセスの条件で運転した。焼成石灰石(CaO)を流動媒体とした。吸収器へは,空気吹き燃焼器からの排ガスを模擬してCO2,N2O,NO,O2,N2の混合ガスを供給した。吸収器ではCO2が焼成石灰石により捕集され,部分的に炭酸化した焼成石灰石は再生器に輸送され,再生器では空気中でCaCO3を熱分解した。CaLプロセスの吸収器は,粒子にCO2捕集活性がある場合にはN2O分解反応器としても働くことがわかった。吸収器に供給されたNOの一部分はCaO粒子により吸着除去され,吸着したNOは再生器に輸送されてそこで気相へ再度放出された。ただし,全体としてNOxは分解されなかった。CaLプロセスは,CO2を捕集するだけでなく,N2O分解と再生器供給ガスからの一部NO除去を行うことができる多機能プロセスであることがわかった。