日本エネルギー学会誌
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特集:バイオマス(技術論文)
バイオマス炭化物の鉄化合物形態解析と酸化反応による熱挙動
上田 厚志 河合 秀樹埜上 洋日良 聡鈴木 健治武田 龍二
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2018 年 97 巻 10 号 p. 300-306

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抄録

廃棄物系のバイオマスには,天然由来の無機物や人間活動に伴って排出される化合物の他,バイオマスの中間処理工程の中で添加される人工的な化合物が含まれる場合がある。燃料利用等を目的にバイオマスから炭化物を製造する場合,添加される化合物によっては,自己発熱性に影響を与える可能性がある。そこで本研究では,炭化処理にて生成された鉄化合物による自己発熱性への影響を評価するため,添加する化合物としてポリ硫酸第二鉄を選定し,鉄化合物の形態解析と酸化反応による熱挙動について確認を行った。その結果,ポリ硫酸第二鉄を含むバイオマスから製造された炭化物は,数日間空気雰囲気下で保持することにより,もとのバイオマスより自己発熱性が抑制される可能性があることがわかった。 鉄化合物の形態解析の結果によると,製造直後の炭化物には,FeSO4の水和物が存在し,それを酸化させることによりFe(OH)SO4となることが確認された。また,炭化物の発熱挙動を確認した結果,添加するポリ硫酸第二鉄の量に応じて酸化反応による発熱量が増す傾向が認められた。ポリ硫酸第二鉄の添加量が多い場合には,炭化物全体の発熱に大きな影響を与えることが示唆された。

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© 2018 一般社団法人 日本エネルギー学会
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