日本エネルギー学会誌
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特集:バイオマス(資料)
国際輸送を考慮した持続可能なEFB利活用システムの設計
古林 敬顕 赤尾 貢佑中田 俊彦河西 英一
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2018 年 97 巻 10 号 p. 314-329

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抄録

本研究では,マレーシアで発生するオイルパーム残渣の一つであるEFBを対象資源として,日本への国際輸送を考慮した持続可能なEFB利活用システムを設計して,定量評価することを目的とする。対象地域に賦存するEFB資源の収集,対象地域内の未処理のEFBの輸送,前処理,対象地域内のEFB燃料の輸送,国際輸送,日本にて化石燃料の代替の各要素からなるシステムを設計して,エネルギー収支,経済性,環境性を評価する。資源発生地点から前処理工場,港への輸送経路は,地理情報システム(Geographical Information System: GIS)を用いて最適化する。前処理としてペレット化,炭化,エタノール製造を考慮して,それぞれ火力発電所での石炭代替及び自動車のガソリン代替を想定する。その結果,CO2削減コストが最も安価なのは,未処理のEFBを輸送せずにペレット加工するシステムであり,-4.35 USD/t-CO2と負の値となった。また,炭化,エタノール製造する場合のCO2削減コストはそれぞれ141, 393 USD/t-CO2となり,日本にて木質ペレットを製造することを想定した先行研究に比べて安価となった。感度解析では,資源の利用可能量が炭化及びエタノール製造のCO2削減コストに与える影響が大きく,ペレット化のCO2削減コストは大きな変化がないことが示された。

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© 2018 一般社団法人 日本エネルギー学会
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