日本エネルギー学会誌
Online ISSN : 1882-6121
Print ISSN : 0916-8753
ISSN-L : 0916-8753
論文
エネルギーセキュリティの費用化手法の検討
土肥 英幸杉村 丈一
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 97 巻 2 号 p. 23-30

詳細
抄録

今日,低炭素化へ向けたエネルギーに関する研究において,3E+S で示されるエネルギーセキュリティ(Energy security),経済効率性の向上(Economic efficiency),環境への適合(Environment),安全性(Safety)の4つの因子を考慮することが求められる。これらの因子の内,エネルギーセキュリティの評価には,セキュリティインデックスが広く用いられているが,経済性,環境性とあわせて費用として評価した例は少ない。そこで,本研究ではリスクの変化に対し一次エネルギーの備蓄日数の増減で対策可能という前提に立ち,エネルギーセキュリティの費用化手法を提案,その手法を用いエネルギーミックスに関わるケーススタディを実施し,その解釈について検討を行った。その結果,2030年想定の電源構成が,CO2価値として$60~80/t-CO2のときに発電費用,CO2価値およびセキュリティ費用からなる総費用最小を与える火力発電構成に近いという解釈が,また,CO2価値が$160/t-CO2を超えると,エネルギーセキュリティを含めた総費用低減への石炭火力発電の寄与が困難になることが示唆された。

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本エネルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top