2018 年 97 巻 2 号 p. 31-39
砂糖キビバガスは乾燥後,物理的,生物的または熱化学的なプロセスでエネルギーに変換されるとき,高熱量(HHV)となるバイオマスの一種である。過熱水蒸気および窒素ガスを用いた場合の砂糖キビバガスの炭化挙動と伝熱特性を研究した。炭化実験では,過熱水蒸気の場合のチャー収率,HHVおよび炭化割合は,実験温度が491-702 Kの間で窒素加熱と同様の傾向を示した。これは,特別な酸化が過熱水蒸気の炭化および熱分解の時に生じないことを意味する。伝熱特性において,サンプル温度の経時変化の計算と実験結果は,過熱水蒸気,窒素ガス過熱時ともよく一致した。過熱水蒸気雰囲気下でのサンプル温度は窒素ガス雰囲気下の場合よりも早く設定の炭化温度に達した。これは過熱水蒸気の伝熱特性が対流に加えて放射によるからである。以上のように,過熱水蒸気は,窒素雰囲気と同様熱分解過程で砂糖キビバガスを酸化させずに炭化し,窒素加熱より優れた伝熱特性を有することから,有用な炭化手段の一つといえる。