2019 年 98 巻 10 号 p. 272-278
本論文では,水平管型反応器を用いて,熱CVDにおけるHMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)の酸化からなるSiO2膜の成長速度を実験および数値解析を用いて検討した。物質移動の律速段階は,表面反応から原料拡散まで変化し,微分反応器モデルを用いることにより,表面反応速度はHMDSO濃度の1次だけでなく,酸素濃度の0.55乗にも依存することがわかった。表面反応速度定数の活性化エネルギーは127 kJ/molであった。拡散律速段階での見かけの拡散係数は秋山のモデルによって得られ,温度の1.75乗に依存すると仮定した。拡散律速の領域を除いて,化学反応を用いた熱および物質移動の数値解析によりSiO2薄膜の成長速度分布を再現できることが分かった。