日本エネルギー学会誌
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論文
A Study on the Structure of the Stable Inverse Diffusion Flame from the Producer Gas of Woody Biomass: Effects of Concentration of Carbon Dioxide on Partial Combustion
Zhiren BAINoriaki NAKATSUKAJun HAYASHI Fumiteru AKAMATSU
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2019 年 98 巻 8 号 p. 176-185

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抄録

本研究は,木質バイオマスガス化ガスの部分燃焼によるタール改質過程を対象としている。部分燃焼を用いたタール改質では,熱源として形成する逆拡散火炎の近傍において,タールが分解されると同時に,すすへの重合も起こる。火炎近傍におけるすすの生成を抑制するためには,逆拡散火炎の火炎構造を把握することが重要となる。ここで,木質バイオマスのガス化ガスは,二酸化炭素と水蒸気などの希釈ガスを約40 vol%含んでおり,希釈された燃料と考えることができる。そこで本研究では,二酸化炭素および水蒸気によって希釈された燃料流中に形成される逆拡散火炎の火炎構造および希釈ガスがタール分解へ与える影響を明らかにすることを目的とした。希釈ガスが逆拡散火炎の火炎構造およびタールの分解へ及ぼす影響を明らかにするために,逆拡散火炎に対してCH*ラジカル自発光計測および多環芳香族炭化水素(PAHs)に対するレーザー誘起蛍光法とすすに対するレーザー誘起赤熱法の同時計測を適用した。得られた結果より,中心軸から半径方向に,CH*ラジカル自発光の信号,LIF信号,LII信号の順序で分布していることが分かった。また,PAHsは火炎の上流で形成され,主流方向に沿って徐々に減少するのに対して,すすの体積分率は主流方向に沿って増加し続ける傾向を示した。さらに,酸化剤中の二酸化炭素濃度が上昇ともに火炎長が増加し,火炎の下流側において,すすの体積分率が増加することが明らかとなった。また,酸化剤中の二酸化炭素濃度の上昇に伴って炭素収率は減少した。これらの結果から,燃料中の二酸化炭素濃度が高い条件においてすす生成が促進されたことが示唆された。

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© 2019 The Japan Institute of Energy
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