日本エネルギー学会誌
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98 巻, 8 号
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目次
論文
  • Yuma HATAKEYAMA, Takehiko TAKAHASHI, Masataka OGASAWARA
    原稿種別: Original Paper
    2019 年 98 巻 8 号 p. 171-175
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル フリー

    我々はバイオマスから高効率に糖を得るための前処理技術としてリング媒体利用粉砕機を開発した。リング媒体粉砕機によって乾式粉砕された杉粉末の酵素糖化率は60 min粉砕で60%まで向上する。しかし,酵素糖化率が向上するメカニズムは粉砕による粉砕粉末の凝集現象の発生によって不明だった。本研究では,固体NMRを用いてリング媒体粉砕機によって乾式粉砕された杉粉末の凝集体の最小構成粒子サイズ( ドメインサイズ) と構造変化を調査した。その結果,杉粉末のドメインサイズは60 min粉砕で約8 nmにまで微細化していることが分かった。ドメインサイズと酵素糖化率との間には相関関係が見られ,比表面積の増大によって酵素糖化率が向上したものと考えられた。また,NMRスペクトルからセルロースの結晶性は保持されたままであった。そのため粉砕された杉粉末はセルロースナノ材料としての利用できると推測された。最後に,炭素鋼粉末によるNMRスペクトルのノイズの影響をICP-MSによって調査した。結果として炭素鋼粉末によるノイズの影響はなかった。この研究により, 粉砕による酵素糖化率向上のメカニズムを明らかにしたとともに,乾式粉砕によるセルロースナノ材料製造の可能性を示した。

  • Zhiren BAI, Noriaki NAKATSUKA, Jun HAYASHI, Fumiteru AKAMATSU
    原稿種別: Original Paper
    2019 年 98 巻 8 号 p. 176-185
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル フリー

    本研究は,木質バイオマスガス化ガスの部分燃焼によるタール改質過程を対象としている。部分燃焼を用いたタール改質では,熱源として形成する逆拡散火炎の近傍において,タールが分解されると同時に,すすへの重合も起こる。火炎近傍におけるすすの生成を抑制するためには,逆拡散火炎の火炎構造を把握することが重要となる。ここで,木質バイオマスのガス化ガスは,二酸化炭素と水蒸気などの希釈ガスを約40 vol%含んでおり,希釈された燃料と考えることができる。そこで本研究では,二酸化炭素および水蒸気によって希釈された燃料流中に形成される逆拡散火炎の火炎構造および希釈ガスがタール分解へ与える影響を明らかにすることを目的とした。希釈ガスが逆拡散火炎の火炎構造およびタールの分解へ及ぼす影響を明らかにするために,逆拡散火炎に対してCH*ラジカル自発光計測および多環芳香族炭化水素(PAHs)に対するレーザー誘起蛍光法とすすに対するレーザー誘起赤熱法の同時計測を適用した。得られた結果より,中心軸から半径方向に,CH*ラジカル自発光の信号,LIF信号,LII信号の順序で分布していることが分かった。また,PAHsは火炎の上流で形成され,主流方向に沿って徐々に減少するのに対して,すすの体積分率は主流方向に沿って増加し続ける傾向を示した。さらに,酸化剤中の二酸化炭素濃度が上昇ともに火炎長が増加し,火炎の下流側において,すすの体積分率が増加することが明らかとなった。また,酸化剤中の二酸化炭素濃度の上昇に伴って炭素収率は減少した。これらの結果から,燃料中の二酸化炭素濃度が高い条件においてすす生成が促進されたことが示唆された。

  • Yoshiaki KIMURA, Hiroki KATO, Seiichi YASUI, Kazuma OZAKI, Kunihiko YO ...
    原稿種別: Original Paper
    2019 年 98 巻 8 号 p. 186-193
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル フリー

    本研究は,積雪寒冷地用の温室効果ガス(GHG)測定システムを用い,乳牛ふん尿を主原料としたバイオガスプラントより排出された消化液の貯留時に発生するGHG量を明らかにし,バイオガスプラントによる嫌気発酵処理システムのLCA解析で用いるガスインベントリを作成することを目的として,測定事例の極めて少ない融雪期における貯留槽表層の凍結した消化液の融解前後のGHGの発生量を調査した。実験は,北海道の道央地域に設置されたバイオガスプラント(処理量:29 m3,発酵温度:40℃,水理学的平均滞留日数:40日)に付帯する消化液貯留槽(地上・開放式,直径23 m,容量 1,870 m3)を対象に厳寒地用オープンチャンバー法により測定した。凍結した貯留槽からのGHGの発生はほとんど観測されなかった。凍結した消化液の融解が始まるとGHGガスの発生パターンは概ね外気温に連動した日内変動を示した。消化液氷塊の融解直後から完全に融解するまでの期間内のGHGガスの発生量は大きく変化し,融解後のCH4,CO2及びN2O排出量はそれぞれ,113.0 mg CH4/m2/ 日,88.8 mg CO2/m2/ 日,0.021 mg N2O/m2/ 日であった。

技術論文
  • Dwi Yuni HASTATI, Erliza HAMBALI, Khaswar SYAMSU, Endang WARSIKI
    原稿種別: Technical Paper
    2019 年 98 巻 8 号 p. 194-201
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル フリー

    This study aims to prepare nanocelluloses from chemically purified celluloses of oil palm empty fruit bunch (CPC-OPEFB) by using acid hydrolysis. The nanocelluloses from CPC-OPEFB was prepared with sulfuric acid treatment at the concentration of 67 wt% and temperature of 40 ± 1 °C, for 10, 20, 30, and 40 min. As a comparison, nanocelluloses from commercial microcrystalline cellulose (C-MCC) were also prepared with the same condition. The effects of hydrolysis time on the morphology and physical properties of the obtained nanocelluloses were investigated. Observation with TEM showed that nanocelluloses from CPC-OPEFB were long and fibril, whereas the ones from C-MCC showed a rod-like structure and crystalline. This observation was in agreement with the DSC analysis, i.e. the endothermic peaks were not present on the DSC curve of nanocelluloses from CPCOPEFB, whereas it was clearly observed on the DSC curve of nanocelluloses from C-MCC, indicating that the nanocelluloses from CPC-OPEFB were amorph, and the ones from C-MCC were crystalline. The particle size analysis revealed that the diameter of the obtained nanocelluloses was affected by hydrolysis time. The best hydrolysis time to obtain the smallest diameter of NFCs from CPC-OPEFB and NCCs from C-MCC was 30 and 40 min, respectively.

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