日本エネルギー学会誌
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論文
軽油を溶媒とした木質バイオマスの熱分解反応におけるパラジウム活性炭触媒の水素供与効果
木村 健太郎 新坂 周平角田 雄亮栗原 清文
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2020 年 99 巻 1 号 p. 8-15

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抄録

溶媒を軽油とした木質バイオマスの熱分解反応おいて,木質バイオマスから液化油を生成するためには水素供与が必要である。しかしながら,テトラリンのような液体の水素供与体を使用すると,軽油と分離できず,性状が異なるため軽油混合燃料の物性がJIS規格を満たさない問題が生じた。そこで,燃料と分離可能な固体水素化触媒であるパラジウム活性炭触媒を添加した検討を行った。その結果,パラジウム活性炭触媒の水素化効果によって残渣の生成が抑制され,液化油の生成が促進された。このとき,触媒は軽油の脱水素反応により生成される水素とセルロースの分解過程で生じる一酸化炭素と水との水性ガスシフト反応により生成される水素を使用し,水素供与することが示唆された。そこで,水を添加し水性ガスシフト反応の促進を試みた。その結果,木質バイオマス由来の水素生成が促進され,液化油の量が増加した。さらに,軽油混合燃料の物性が向上し,JIS規格に近づくことが判明した。

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© 2020 一般社団法人 日本エネルギー学会
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