日本エネルギー学会誌
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論文
Prediction of Surface Tension of Heavy Oil Based on Principle of Corresponding States Combined with Detailed Composition and Molecular Structure Analysis
Yuichi MUKAWAKoshiro YAMAGIWAEita SHOJIMasaki KUBO Takao TSUKADAShogo TERATANIKeita KATANO
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2020 年 99 巻 7 号 p. 75-81

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抄録

重質油の表面張力とその温度依存性を推算するための新規な方法を構築した。重質油の詳細組成構造解析,すなわち「ペトロリオミクス」に基づいて,常圧残渣油(AR)の減圧蒸留による5つの分画留分および残渣,さらにはAR 自身の表面張力を推算した。この方法では,分画留分および残渣に含まれる化合物の組成と分子構造をフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置(FTICR MS)によって同定した。そして,各化合物に対して,グループ寄与(GC)法を用いて臨界圧力,臨界温度および沸点を推算した。これらの物性を用いて,対応状態原理に基づき各化合物の表面張力を推算した後,混合則に従い,ARの5つの分画留分および残渣,さらにはAR自身の表面張力を推算した。表面張力およびその温度依存性の推算値と測定値の相対誤差は10%以内であり,本推算法によって重質油の表面張力を高精度に推算することが可能となった。

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© 2020 The Japan Institute of Energy
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