抄録
石炭の化學成分特にフミン酸に就いての今迄の研究及筆者の研究を合せて次の事柄に就て要約した。
1) フミン酸の定義及分離フミン, アルカリ不溶性フミン酸, フムス酸, ヒマトメラン酸, フモリグニン酸, フルヴォ酸の定義及分離
2) フミン酸の採取及定量法稀苛性ソーダ水溶液抽出が最適である。定量法は筆者の研究を合せて6種類を學げうる。
3) フミン酸の元素組成と分子量及當量元素組成及分子量についての今迄の報告及筆者のそれを列擧し且それに對する批判を加えた。
4) フミン酸の活性基-COOH, -OH (フエノール), >CO, -OCH3, -O-, CH2・COの定量法並に結果を列擧し, 批判を加えた。
5) フミン酸の誘導體活性基反應, 芳香族水素原子との置換反應, 分子の1部分裂を伴う反應, カップリング反應に就き詳細に述べた。
d) フミン酸の鹽基交換反應種々のカチオンとのイオン交換特にH-Na, H-Ca交換による當量及平衡恒數の測定結果に就て。
7) フミン酸の分解反應及その生威物熱分解, 酸化分解, 還元的分解に關する結果に就て。
8) フミン酸の構造の推定示性式として [C106H85O16 (COOH)9 (OH)7 (CO)4 (OCH3)] x [] =2,282活性基を水素換算して [C106H106O16] xを得即C/H=1となる。これより構造としてピラン環, ピロン環, フラン環の混合結合を最も可能性ありと考えた。