抄録
クレオソート油の200~300℃溜分を溶剤とし, 石炭化度の異る6種の石炭を200~375℃で抽出した。まず抽出量をY%, 抽出温度をTとしTに対してdY/dTが極大値を生ずることによつて石炭をいくつかの成分に分割し, 次に抽出に要するエネルギを単位物質にまでに分割するエネルギQY (軟化熱) と, それを溶剤中に混合分散させるためのエネルギQMとにわけて考え, 各成分のQYを算出した。その結果, それらの各成分のQYは3.5~36kcal/molの範囲にあり, 一般に石炭化度の低い非粘結炭はQYが著しく高くて抽出不可能な部分が頑丈な骨組を形成し, その空隙にQYの小さい成分が包蔵され, 軟化熔融性の高い弱粘結炭は全部のQYが低く, 張粘結炭は前者より全体として研が大であるが著しく大なるものはなく, 無煙炭は全体のQYが著しく大であると述べた。またQMの方から抽出可能な成分の平均分子量を算出した。各成分の分子量は101~1012の範囲にあり, 石炭化度との関係はほぼQYと同様の関係にあることを示した。