燃料協会誌
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石炭のぬれに関する研究
太刀川 正一郎手島 精一
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1956 年 35 巻 10 号 p. 570-576

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抄録

ぬれを支配するものは, ぬれの難易とぬれの界面の大いさとである。
そこで, まず25℃おける各種石炭の水に対するぬれならびに共存する水と油とに対する選択ぬれの自由エネルギ変化を置換圧測定によつて求め, ぬれの難易を石炭の石炭化度と対比して考察した。
つぎに, 25℃における石炭一水の吸着実験を行い, Banghamの式によって, 石炭の単位重量当りの表面自由エネルギ変化を算出し, 接着ぬれから求められた値と組合せて, 石炭の保有する界面の大いさを求めて考察を加えた。
石炭のぬれの難易には, 炭素含有量78%および89%附近に転移点があり, 若年炭, 瀝青炭および無煙炭の3群にわけられる。また, 石炭化度の変化に件い, 水おおよびベンゼンに対し特徴的な傾向を示す。
石炭の鮪する界面の大いさは, 本報告において新しく試みた方法, すな秘ぬ勘自由エネルギ変化から求めたのであるが, これらの値はメタノール湿潤熱に10m2/ca1の換算率を用いて算出した値とよく一致する。

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