回路実装学会誌
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グリオキシル酸を還元剤とする無電解銅めっきの析出過程
渡邉 弘行千葉 国雄福田 豊黒川 裕
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1995 年 10 巻 2 号 p. 118-122

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抄録

無電解銅めっきの還元剤として使用しているホルマリンの発癌性, 刺激臭などが問題視されるようになり, その代替材料の研究報告が見られるようになった。なかでもグリオキシル酸はホルマリンに比べ非揮発性で刺激臭もないため, ホルマリンの代替材料として有望視されている。著者らは, グリオキシル酸を還元剤とし, 常温で使用可能な無電解銅めっき浴の検討過程で, 使用するキレート剤によって, インダクションタイムに大きな差があることを見出した。そこでこの現象が皮膜の析出状態に与える影響を, 電気化学的手法および電子顕微鏡観察により検討した。その結果, I.T.は主に, 極小値を示す前に-0.3~-0.4Vで電位が停滞している時間によって決定され, I.T.が長いめっき浴ほど停滞電位はより貴側に位置し, グリオキシル酸の酸化による電流密度の値が小さく, 試料表面の触媒密度によるI.T.の差が非常に大きかった。また, I.T.の短いめっき浴からは緻密で均一な皮膜が, I.T.の長いめっき浴からは微細な空隙の多い, 島状の析出が集合したような皮膜が観察された。

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© 一般社団法人エレクトロニクス実装学会
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