造園雑誌
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日本文化としての庭園
丹羽 鼎三
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1943 年 10 巻 1 号 p. 19-26

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抄録

一, 作庭は綜合藝術である。
二, 日本の庭園は日本文化の中でも, 往古, 最も早く大陸丈化の影響から離脱して, 日本的性格を備へたものの一つである。
三, 鎌倉時代に盛になつた禪宗の影響が, 室町時代に入つて庭園に現はれて來て, 途に「枯山水」又は是と同主旨なる一種獨特の庭園を生むに至った。
四, 檜畫・音樂・陶工・其の他我が國土に於て日本的發展を遂げた藝術には, 何れにも共通なる理念が存する。此の理念はまた, 日本作庭の理念にも通するものである。而して, 此の理念が具盤化されたものが所謂「枯淡」となるのである。
五, 日本の武道の精神も亦, 前記理念と相通するものがある。
六, 日本獨特と言はるる茶道の精神も亦, 同様なる理念に立脚するものと考へられる。「枯淡」と「佗」とは同じ源から發した流である。

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© 社団法人 日本造園学会
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