1990 年 54 巻 5 号 p. 25-30
本研究は, 将軍家斉, 家慶の在世中, 浜御殿庭園を訪問した徳川寔子など4例の回遊利用の行動について『千世の浜松 (1826年)』などの訪問記録, 史料をもとに, 浜離宮庭園現況図に図上復原を試みたものである。図上復原の内容は,(1) 回遊ルート,(2) 庭園各部での滞留時間,(3) 各ポイントにおける利用行動等で, 利用状況を復原してみることによって, 江戸期回遊式庭園がどの様に利用されていたかを明かにすると同時に今後, 本庭園の復原事業の実施に資することとしたい。利用復原の結果と現況利用の比較から現存しない庭園施設が休息・眺望など回遊利用の上で重要な役割を担っていたことが明かとなった。