1990 年 54 巻 5 号 p. 359-364
本研究では, 歴史的市街地の景観を3層からなる構造として把握した。すなわち, 個々の敷地における建築物とオープンスペースの構成を上部構造, それを規定する宅地割を中部構造, それらの土台に相当する微地形を下部構造としている。本編では, 中部構造の変容の背景にある要因として, 土地の所有者による土地の経営形態に着目し, 敷地の利用形態の変化との関係を分析している。その結果, 土地の経営形態の相違に起因する宅地割の変化の差異が認められ, 個々の敷地内部に見られる空間構成のシステムの変容を指摘することができた。