1990 年 54 巻 5 号 p. 90-95
本研究では, 生態的展示のもとに新たに開園したセントラルパーク動物園の実態とその歴史的概要をさぐることにより, 両者の関係を論じる。またオルムステッドの動物園計画に対する態度を通じて, その公園観の一端をさぐる。公園の本質を景観ととらえていたオルムステッドは, 当初計画の景観を乱す施設としての動物園に反対していた。景観を乱す施設の代表とされた動物園は, 生態的展示をとりいれることにより, 公園の景観へと変質した。オルムステッドが課題としていた施設と景観の問題は, 動物園においては一定の解決をみたといえる。これは動物園計画に生態学的なバイオームの概念をとりいれたことによるものといえる。