ランドスケープ研究
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滝沢馬琴の庭造りと家相
丸山 宏
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1996 年 60 巻 5 号 p. 399-404

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抄録

江戸後期の戯作者, 滝沢馬琴は日記に日常生活を克明に綴っていることで著名である。馬琴は庭造りと園芸を趣味とし, 日記あるいは『後の為の記』『改過筆記』等に日常生活の記述を残した。文政7年 (1824) から天保7年 (1836) の12年間, 馬琴は神田明神下同朋町の80坪の住居に暮らし, 鑑賞と実用の庭を造った。庭には多くの樹木草本類の品種が植えられた。江戸の園芸文化の-端が窺える庭であった。庭造りには実学的な植物の知識が求められるが, また, 江戸後期に見られる家相学が庭造りにも影響をあたえた。馬琴も庭造りに吉凶を見ている。俗信・迷信であっても庭造りに一つの拠り所として家相が機能していたことは留意すべきことである。

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