1996 年 60 巻 5 号 p. 679-682
本研究は, 都市化が進行した地域の中では比較的多くの風致が保全されている多摩川風致地区を対象に, 風致要素を風致地区計画手法の体系的枠組みに位置付けるための基礎的知見を得ることを目的としたものである。研究課題は,(1) 多摩川風致地区の経緯,(2) 当該風致地区における風致要素分布状況, 規模の把握を行った。続いてこれに分析を行い, その結果, 第一に都市化の中においても, 指定当初に対象としていた風致の脈絡は保全されている。しかし, 第二に都市化の中で風致要素は質的, 規模的に変化するものであることが明かとなった。