絶滅危惧種フジバカマ保全のための基礎資料として,全国分布を調べるとともに生育環境を把握する目的で植生調査および土壌調査を行った。フジバカマは河川水辺の国勢調査の結果などによると15河川に分布していた。植物社会学的手法に基づいて実施した植生調査で得られた資料をもとに群落区分を行った結果,フジバカマは河川内のヤナギ林,オギ草原,低水路沿いの雑草群落など増水時に撹乱を受ける群落によく出現していた。また,土壌調査の結果,フジバカマの地下茎が発達する層は砂土から微砂質壌土であった。フジバカマが減少した理由として,河川改修により主要生育地である増水による撹乱を受けやすい立地が改変されたためと考えられた。