ランドスケープ研究
Online ISSN : 1348-4559
Print ISSN : 1340-8984
ISSN-L : 1340-8984
水生生物の保全を目的とした放棄水田の植生管理手法に関する事例研究
浅見 佳世中尾 昌弘赤松 弘治田村 和也
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 64 巻 5 号 p. 571-576

詳細
抄録

本研究では, 放棄水田の水生生物を保全するための植生管理手法として, 植生配置のローテーションにより谷全体で種多様性を維持するシステム (シフティング・モザイク・システム) を提案し, その有効性について京都の府立公園予定地を事例に検討した。まず, このシステムを用いるのに適した遷移系列と, 初期化に適した遷移段階を把握し, 次に抽出した植生を対象に初期化を行いその効果を調べた。調査の結果, コナギ群落からカンガレイ群落へとむかう遷移系列において, 植生, 水生昆虫相共に遷移当初の状態が復元でき, システムの有効性が明らかになった。このように本研究は.遷移を前提とした植生管理の一つの方向性を示し得たと考える。

著者関連情報
© 社団法人 日本造園学会
前の記事 次の記事
feedback
Top