2001 年 65 巻 5 号 p. 785-788
白川村荻町地区では, 世界遺産選定後に観光客が急増し様々な影響が発生している。本研究では, 立ち寄り観光客が集落内でどのような行動をしているか, またどのような集落風景が観光対象となっているのかを明らかしたものである。手法としては観光客の流動調査, アンケート調査, ならびに写真撮影調査を用いている。分析の結果, 観光客周遊ルートが形成されていること, 一般的に評価される風景に加え, 周遊によって印象的に感じる風景が存在することが明らかになった。以上より, 立ち寄り観光客を受け入れるための方策を講じるために, 文化財保存とは別の視点で地域を再評価する必要性が示唆された。