2001 年 65 巻 5 号 p. 789-792
本研究の目的は, 銀山温泉, 上五十沢集落, 大石田町中心部の3地区で行われている生活・生業としての歴史的風景保全の取り組みについて, 過去6年間の取り組みを抽出し, その前後の風景の変化を比較分析することで, 取り組みの違いと風景保全との関係を明らかにすることである。分析の結果, 銀山温泉では, 温泉組合として取り組んだ家並保存条例により風景保全が概ね成功していること, 上五十沢集落では, 合意形成のための取り組みは多いが, その間にも高齢化が進み, 生活としての風景の消失が懸念されること, 大石田町中心部では, 住民が中心となる取り組みがなく, 歴史的風景をつくっていた建築が急速に失われたことを明らかにした。