ランドスケープ研究
Online ISSN : 1348-4559
Print ISSN : 1340-8984
ISSN-L : 1340-8984
メリーランド州モンゴメリー・カウンティの農地・オープンスペースの保全と開発権移転に関する二, 三の考察
宮本 克己
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 65 巻 5 号 p. 851-854

詳細
抄録

1960年代, アメリカの都市化が激しくなり, 郊外へのスプロールによる農地の蚕食が問題視され, 諸州で成長管理政策が打ち出された。メリーランド州モンゴメリー・カウンティはワシントン大都市圏に隣接するためその勢いには激しいものがあった。カウンティ政府は, 1964年,「懊と回廊計画」を打ち出し, 州幹線道路沿いの「回廊」に開発を集約し, それ以外は「櫻」として「農業保全区」とした。1980年の「機能的マスタープラン」では,「農業保全区」の中の生産性の高い農業地域が「農村密度抑制ゾーン」としてこれまでよりも厳しいダウンゾーニングが行なわれた。そして, それと引き換えに, 土地利用規制の強化に伴う損害に対して, 開発権を「譲渡地」から「譲受地」に移転することで, この一部を「補償」する開発権移転制度 (TDR) を導入した。TDRは歴史的文化財の保護から始まり, 最近に至っては, 自然資源・農地を保全するために開発圧力を特定地区に誘導すべく成長管理政策の一環として適用されている例もある。

著者関連情報
© 社団法人 日本造園学会
前の記事 次の記事
feedback
Top