腸内細菌学雑誌
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総説
炎症性腸管粘膜障害と粘膜免疫機構
名倉 宏
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2004 年 18 巻 1 号 p. 1-5

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抄録
粘膜は多種かつ多量の感染性抗原や食物抗原に曝露されているが, その粘膜表面は粘膜免疫機構による極めて巧妙なバリア機能によって保護されている. この粘膜での生体防御機構は腸管の機能や構造の恒常性維持の主役を果たしている. 神経線維と免疫担当細胞との形態上の密接な連関かつ腸管粘膜で構築されており, 免疫系も一部中枢神経系や視床下部—下垂体—副腎軸を介した内分泌系によって制御されているが, 近年肥満遺伝子 (ob gene) の転写産物であるレプチンも食物摂取のみならず, 代謝系, 内分泌系および炎症免疫系の反応の制御にもかかわり合っていることが知られるようになり, これらの生体制御系がお互いに密接に関連し合っていることが明らかにされつつある. こうした腸管粘膜での粘膜免疫機構やその制御機構の破綻が腸管粘膜の生体防御機能を障害し, 炎症性腸管障害の主要な病因となっている.
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© 2004 (公財)日本ビフィズス菌センター
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