腸内細菌学雑誌
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Lactobacillus johnsonii La1株含有発酵乳の摂取によるヒト自然免疫の活性化及び過剰摂取時の安全性に関する検討
山野 俊彦福島 洋一高田 麻実子飯野 久和
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2005 年 19 巻 1 号 p. 39-46

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抄録

健康な成人男女27名を対象に,Lactobacillus johnsonii La1株を含む発酵乳の摂取がヒト血中貪食細胞活性に与える影響について検討した.試験食として L. johnsonii La1株(1×109 cfu /120 g)を含む発酵乳を,プラセボ食として L. johnsonii La1株を含まない発酵乳を用い,いずれか一方の発酵乳を1日1カップ120 gを21日間連続摂取させる無作為二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験を実施した.摂取第I期において,試験食を摂取した被験者の摂取21日目における血中貪食細胞活性は,試験食摂取前と比較して有意に上昇し (p<0.001),その活性は,同様に活性の上昇が認められたプラセボ食を摂取した被験者の活性よりも有意に高値となった(p<0.05).29日間のウォッシュアウト期間後においても活性の高い状態は維持された.摂取第II期において,試験食を摂取した被験者の血中貪食細胞活性は,摂取前と比較して有意に上昇したが(p<0.05),プラセボ食を摂取した被験者の活性に有意な上昇は認められなかった.また健康な成人男女10名を対象に, L. johnsonii La1株を含む発酵乳を摂取目安量の3倍量である1日3カップ360 gを14日間連続摂取させたところ,試験食摂取後の血中貪食細胞活性の有意な上昇が認められた(p<0.005).自覚症状,医師による検診,血液検査ならびに尿検査において試験食摂取による健康状態に異常が認められた者はなく,試験食の安全性が確認された.以上の結果から, L. johnsonii La1株を含む発酵乳の摂取は,血中貪食細胞を活性化してヒト自然免疫を賦活する作用が認められ,また過剰量の摂取において安全性に問題のないことが示された.

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© 2005 (公財)日本ビフィズス菌センター
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