腸内細菌学雑誌
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総説
ヌクレオチドが免疫系に与える影響
永渕 真也
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2007 年 21 巻 4 号 p. 305-312

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抄録

本研究では,ヌクレオチドの投与が,成長期のマウスのヘルパーT細胞(Th)のTh1-Th2バランスおよび粘膜免疫系に与える影響を検討した.その結果,ヌクレオチドは,成長期のマウスのTh1-Th2バランスをTh1優位にし,抗原特異的IgEを抑制した.このことから,乳児期のヌクレオチドの摂取により,アレルギーの発症が抑制される可能性が示唆された.また,粘膜免疫系に関しても,ヌクレオチドによりγδ型のT細胞レセプターを有する腸管上皮間リンパ球(IEL)の割合,腸管上皮細胞のIL-7産生,および抗原特異的IgA産生が上昇することを明らかにした.従って,ヌクレオチドの摂取は粘膜免疫系内の細胞間の相互作用にも影響を与えることが示唆された.

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© 2007 (公財)日本ビフィズス菌センター
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