抄録
細菌(原核生物)の分類学は,1980年代中頃から用いられるようになった16S rRNAをコードする遺伝子(16S rDNA)の塩基配列を基とした系統分類により劇的に変化した.現在の分類学によると,ヒトの口腔から大腸にいたる消化管内に生息する菌は,Archaeaの2門のうちの1門,すなわちEuryarchaeota門とBacteriaの26門のうちの8門,すなわちActinobacteria,Bacteroidetes,Fibrobacteres,Firmicutes,Fusobacteria,Proteobacteria,Spirochaetes,Tenericutesの各門に分布している.これらの消化管内に生息する菌およびその近縁の菌について,現在の分類学における位置をまとめた.