腸内細菌学雑誌
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総説
プレバイオティクスおよびプロバイオティクスの消化管IgA分泌促進作用に関する研究
中村 吉孝
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2012 年 26 巻 1 号 p. 3-9

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抄録
消化管で産生される分泌型IgA(SIgA)は体内へ侵入しようとする病原体や食物抗原に対して抗体反応を起こし,粘膜表面および感染細胞内において初期段階の感染防御に寄与している.粘膜固有層に存在する形質細胞において産生された二量体IgA(dIgA)は,上皮細胞に発現している多量体免疫グロブリンレセプター(pIgR: polymeric immunoglobulin receptor)と結合し,細胞内を輸送され管腔内に分泌される.つまり,SIgAの分泌には形質細胞と上皮細胞の両者のユニークな協働が必要である.これまでプレバイオティクスおよびプロバイオティクスが消化管粘膜に存在する形質細胞のIgA産生を促進することが報告されてきた.一方,プレバイオティクスおよびプロバイオティクスが消化管上皮細胞のpIgR産生に与える影響はほとんど未解明であった.そこで本研究ではpIgRの産生にプレバイオティクス(フラクトオリゴ糖)およびプロバイオティクス(ビフィズス菌)が与える影響を詳細に検討した.
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© 2012 (公財)日本ビフィズス菌センター
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